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地震とマグニチュードと地鳴り [▼Q&A]

前の記事へいくつか質問などをいただきましたので、あらためましてこちらでお返事させていただきます。

まず一つ目はキートン増田さんからのご質問。マグニチュード(M)についてですね。
  「気象庁ではM5.6です。何でこんなに違うのでしょうか…。」
  http://www.jma.go.jp/jp/quake/02183700391.html

昨晩(5/2)の地震のことですね。防災科学技術研究所の高感度地震観測網のページではマグニチュード4.8となっています。「マグニチュード」とは地震の規模を示す値です。これに対して「震度」はある場所での地震による揺れの度合いです。ややこしいですね。台風と比べてみましょうか。台風の規模を示す"中心気圧"が「マグニチュード」にあたり、各地の"風速"が「震度」にあたります。

この「マグニチュード」ですが歴史的理由で数種類あるのです(詳細はマグニチュード Wiki)。気象庁は「気象庁マグニチュード(Mj)」といって、比較的短い周期の地震の揺れを基にした経験的な方法に基づいています。気象庁マグニチュードは日本固有のものですが、日本の地震学の長い歴史で使われており、過去の地震と今回の地震を比較するために、このマグニチュードが「公式記録」となっています。ただこの方式では地震計の装置の特性のため、M8を越えるような巨大地震の大きさをうまく表現できないという欠点があります。

一方、防災科学技術研究所は「モーメントマグニチュード(Mw)」を用いています。これは地震時にずれた断層面の大きさに基づいたものであり、国際的にも標準値として用いられます。Mwは比較的長い周期の地震の揺れから求めます。以前はMwを求めるのに時間がかかっていたのですが近年の計算速度の向上のため、あっという間に求まるようになりました。気象庁もMjだけでなく、大きい地震については試験的にMwも発表するようになりました。いずれはMwに統一されるのかもしれませんね。これらの解説は気象庁の発振機構のページの「CMT解とは何か」などに専門的チックになされております。

2つのマグニチュードは大体は一致しますが、地震波の周期の特長によって若干ずれるのです。今回の地震では、周期の短い地震の揺れが多めに発生したために、MjとMwに違いが発生したのだろうと思います。

さて二つ目のご質問は3nyans222さんから。
  「ここ伊豆の地震でも揺れる前に地鳴りのようなものが聞こえる(感じる)?時がしばしばあるのですが・・・。」

これはよく言われることです。地震の縦波(P波)が空気を振動させ、そのときの音が地鳴りとして聞こえ、そのあとで大きな揺れ=横波(S波)がやってくる、という考えが一般的です。でもほんとうにそうかどうか、きちっと測った例はあまりないようです。またP波よりも早く聞こえたという話もあるようです。P波の速度は毎秒5kmくらい、音波の速度は毎秒340mくらいですので、P波がやってくる途中で音波が出たとしても、P波より早く耳に届くことはないのです。もしかして地鳴りと思っていたものは「音」じゃなくて他のものだったかも…? 地鳴りの調査例をご存知の方、ぜひお教え下さい!

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キートン増田

解説ありがとうございます。マグニチュードは計算式によってずいぶん異なるんですね。
1増えると31.62倍,2増えると1000倍ですから0.8増えると15.84倍になります。0.1違うだけでも1.412倍違いますから比較しにくいですね。
by キートン増田 (2006-05-05 07:18) 

MANTA

- そうなんですよ > キートンさん
気圧と違ってマグニチュードは対数なので、1つ違うだけでずいぶん違うんですよ。
震度も風速とは違ってなんかまちまちです。倍々というわけでもない。
http://www.bousai.go.jp/manual/v-4.htm
こういったちょっとしたことが地震へのいらぬ恐怖とか分かりにくさを生んでるとおもうのですが…
by MANTA (2006-05-05 08:14) 

ありがとうございます!
そうなのですか・・・「音」ではないのですね。
確かに家族友人の中でも聞こえた聞こえない・感じた感じないに差がありますが、先日の地震の時はその場にいた全員が感じました・・・なんなのでしょうね?
また何か解りましたらよろしくお願い致します!
by (2006-05-05 10:56) 

MANTA

- 3nyans222さん、Niceもありがとうございます。
いや、あんまりオカルトの方向にはいかないことにして(笑)、とりあえず皆さん感じられたのですから音ということにしておきましょー。
by MANTA (2006-05-05 19:52) 

キートン増田

ペルーの地震で質問です。
マグニチュードは報道されるのですが,震度が報道されません。
そこで気がついたのですが,気象庁が発表する震度5とか6というのは世界的に共通なのでしょうか?
by キートン増田 (2007-08-17 19:20) 

MANTA

- 震度は国によって異なります。日本の震度を他国の地震にそのまま
適用できないのです。ペルーで(ペルーなりの)震度計測がどの程度
なされていたかもポイントでしょう。マグニチュードは地震が放出した
トータルエネルギーのようなもので、このくらいの規模の地震になれば
世界中の地震観測データから決定されますが、震度はペルーのその場所
でなければ測定できません。
by MANTA (2007-08-18 22:38) 

キートン増田

ありがとうございます。
Google Newsで『ペルー』『震度』を検索してもひとつも記事がヒットしないので不思議に思っていたところです。
大地震なことはわかりますがどのくらいの震度だったんでしょうか。被害から見ると日本の震度6~7に思えます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%87%E5%BA%A6#.E3.81.9D.E3.81.AE.E4.BB.96.E3.81.AE.E9.9C.87.E5.BA.A6.E9.9A.8E.E7.B4.9A
by キートン増田 (2007-08-19 09:05) 

MANTA

- BBCによる被災地の写真を見ると、被害状況は次のように見えます。
”In pictures: Peru quake aftermath”
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/6953167.stm
1)鉄骨の入っていないレンガを積んだだけの建物が壊れているようだ
2)コンクリート製?のビルは倒れていないようだ
気象庁震度の6強程度でしょうか?

ペルーの地震では刑務所から囚人が多数脱獄したりして、国の秩序
のほうも問題になっているようです。軍隊も出動しています。
"More troops for Peru quake zone"
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/6953486.stm
by MANTA (2007-08-19 13:02) 

大震災があると質問するキートン増田です(汗)。

たまにお世話になっています(大汗)。

CNNの報道を見ると
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200805120015.html
>北京の震度はM3.9という
と書いてあり,マグニチュードと震度を混同しているように思うのですがこれは北京の震度は3.9と言うことなのでしょうか? でも震度3.9って日本ではこういう表現ないですよね。

by 大震災があると質問するキートン増田です(汗)。 (2008-05-12 22:54) 

MANTA

お返事が遅くなりました!でも時間がたって事情がわかってきました。
1)CNNの元ニュースを読みましたが分かりにくいですね。どうやらこれは
「北京でも別途M3.9の地震が起きた」ということだったようです。
●[速報]中国・四川省地震、赤十字の救援活動
 http://www.jrc.or.jp/active/saigai/news/1392.html

2) ところがM3.9の地震は誤報だったようです。
●「通州区でM3.9の地震」は誤報
 http://www2.explore.ne.jp/news/article.php?id=9079&r=bj

どちらもニュースソースも不明瞭なので、なんともいえませんが、米国地質
調査所のホームページにはM3.9の地震がおきたという記録はないようです。
大地震の時には誤った情報に要注意、ということでしょうか?
by MANTA (2008-05-21 18:55) 

キートン増田

回答ありがとうございます。
情報が錯綜していて誤報だったようですね。
日本の震度の数値はメルカリ震度階級とは異なるもののようですが,世界的にはメルカリ震度階級というものが通用するのでしょうか?
今回の中国の地震の震度は日本の阪神大震災以上の揺れだったのでしょうか?

by キートン増田 (2008-05-23 23:57) 

MANTA

>日本の震度の数値はメルカリ震度階級とは異なるもののようですが
>世界的にはメルカリ震度階級というものが通用するのでしょうか?

キートンさん、これがですねぇ… 世界でまちまちです。Wikipediaの「震度」
をご覧いただくと、まちまち具合が分かります。これは歴史的な原因が
大きいと思いますが、国により地盤や建築様式も異なるため、被害評価に
直結する震度は国によって異なるのは当然とも言えます。中国も独自の
震度階級(中国地震烈度表)を採用しているようです。

さて今回の揺れですが、米国地質調査所の改正メルカリ震度では「10」。
これを気象庁震度へは簡単に変換できないのですが、目安としては
震度6強~7。粗っぽく言えば阪神大震災と同程度の揺れです。本当は
中国本国が発表する震度を気象庁震度に照らし合わせて考えるべきですが
ちょっと見あたりません。
by MANTA (2008-05-27 05:16) 

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