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日本沈没 回答編4(水蒸気爆発、周りの国々) [ 連載 Old..]

およせいただいた映画「日本沈没」へのコメントに対する回答集、まだつづいてます。
ついてきてますかー!(誰となく)
実は私も、もう映画を忘れ気味なのですが、はじめてしまったのでしょうがありません(苦笑)

Q.地下水と地震の関係で、「地下・水蒸気爆発要因説」なるものを聞いたことがありますが?

ご質問の説は、火山の非常に浅いところであれば起きますが、地下深くでは起きません。

20世紀はじめ、地震の発生要因は複数あって、地震に種類があるように考えられていました。
 「地滑りによる地震」          ←地滑りで落ちてきた土砂が地面を揺らす?
 「マグマの急激な貫入による地震」  ←これかなあ?水蒸気爆発要因説
 「断層運動による地震」        などなど…
1950年代になって地震計の観測網が整備されてくると、地震の"揺れはじめ"に規則性があることが分かってきました。

  断層を境にして、地面が下から「突き上げ」られて揺れはじめる地域と
  「突き下げ」られて揺れはじめる地域が規則正しく分布します

図を見て分かるように、この規則性は「断層が急速に動いたため」と考えると説明できます。
こうして「地震は断層運動によって発生する地面の振動だ」と分かったのです。
詳しくはこちらの本の第0章をご覧ください。

地震と断層

地震と断層

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京大学出版会
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: 単行本



「分かったのです」といいましたが、1、2例の観測ができたからといって、すぐ分かるわけではありません。長く論争があったようです。
ある本(月刊地球号外5)によれば、1964年(いまからわずか40年ほど前)、著名な地震学者の安芸敬一は、とある講演でこういったそうです。
「私は洗脳されて帰ってきました。地震はひとくちにいって断層です」
1964年とは、断層と地震の関係がはっきりと捉えられた1891年の濃尾地震から約70年後。地震の揺れはじめの規則性がはじめて指摘された1917年から約50年後。学問が成熟するには時間がかかりますね。

さて「水蒸気爆発」ですが、地下水が高温物質と出会って、爆発的な勢いで水蒸気が発生する現象をさしています。このとき地震も観測されるかもしれません。ただし「爆発」なので、どの地方でも地震の揺れ始めは「突き上げ」になります。実際にはそのような地震はほとんど観測されていません。おそらく地下深くには高温のマグマはあれど、それと大量に反応するだけの地下水がないか、仮にあっても地面の圧力によって爆発が押さえ込まれているかでしょう。結局のところ、水蒸気爆発がはっきりと認められるのは火山のごく浅部くらいのものです。

Q.日本が沈没するとき、周りの国は大丈夫なのか?

地震の被害はそうそう広域に及ぶものではありません。
一方、津波の被害は相当広域におよびます。スマトラの例は記憶に新しいでしょう。
もっとも深刻なのは地震でも津波でもなく、気象変動ではないでしょうか?たとえば1991年にピナツボ火山が大噴火したときには、大量の火山灰、というか微小なチリが世界中の大気に撒き散らされ、その結果地表に達する太陽光が約5%減少したそうです。このため地球全体で0.4度ほど気温が下がったといわれています(ピナトゥボ山 Wiki)。たった0.4度?いやいや、これは過去1世紀の地球温暖化速度に匹敵するくらいの変化なのです。それがたった1回の大噴火で帳消しになるくらい温度が下がったわけです。
お、じゃあ、適度に火山噴火を繰り返せば地球温暖化、防げるんとちゃうの?ほんま?

で、映画「日本沈没」ですけど、日本中の活火山も死火山も噴火しているようですので、その影響はピナツボ火山の比ではありません。仮に日射量が半分になったら…ちょっと考えてみましょ。
・東京の 6月の日出~日没は約14時間です。
・東京の12月の日出~日没は約10時間です。
・10時間/14時間=約70%=冬期は30%ほど太陽光が減っているはずです。
・東京の8月の平均気温は約27度、2月は約6度、その差は21度!
 (http://www.nta.co.jp/kaigai/junbi/info_01.htm
・ということは日射量が半分になったら20度くらいは気温低下!?

そうなると東京は6~9月以外は氷点下で、モスクワよりもずっと寒くなります(まあ映画では東京は海の底ですが)。東京だけでなく、世界中で同様の事態ですから、農作物は全世界でほぼ全滅。大規模な食糧難が襲うわけです。ひょっとしたら全球凍結=地球全部を凍らせてしまう大氷河期がおきるかも?
ああ、べつのパニック映画が作れるなあ。
これが一番恐ろしいシナリオですね。

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コメント 7

HOKUTEN

これ、すごいなぁ・・・。
温暖化ガス効果で気温上昇も言われていて、片や、これから冷える。なんても言われてる。後は火山の爆発でどうにもって・・・?
人間じゃあ、本当のところはわからないんでしょうね。多分・・・。
しかしすごい資料。 さすが研究者。
by HOKUTEN (2006-09-03 22:06) 

mitsuto1976

>お、じゃあ、適度に火山噴火を繰り返せば地球温暖化、防げるんとちゃうの?ほんま?

火山噴火を繰り返して地球温暖化防止かぁ。
宮沢賢治の作品に、火山を人為的に噴火させて放出される火山ガスで温室効果を誘発して冷夏のイーハトーブを救う、って話がありましたが、実際は真逆の効果が出てしまう訳ですね。

>農作物は全世界でほぼ全滅。大規模な食糧難が襲うわけです。ひょっとしたら全球凍結=地球全部を凍らせてしまう大氷河期がおきるかも?

日本沈没は世界滅亡の始まりに過ぎない、ってことですか。
映画の続編もドンドン作れそうですね、「日本沈没2・地球滅亡」とか…映画会社にしてみればおいしい話かも(w
by mitsuto1976 (2006-09-03 22:09) 

Y.K.

MANTAさん、はじめまして。私も海の研究者です。(が、固体地球ではなく、流体系です。また、このブログの内容からおそらくMANTAさんと同僚だと思います。)このブログはいつも楽しく読んでいます。

さて、日本沈没後の寒冷化ですが、「日本沈没第二部」(小松左京・谷甲州著)になって既に本になっています。地球シミュレータも大活躍しているので是非読んでみてください。

話は変わりますが、日本を沈ませるにはどうすれば良いかに皆、目がいっていますが、私は映画のエンディング、すなわちあの方法でどうして日本沈没を防げるのかの方が疑問です。
1)仮に日本沈没があのストーリで起こるとして、太平洋プレートを壊せばそれを本当に止められるのか。
2)仮に止まるとしてプレートを壊すのに必要なエネルギー量は?(必要な弾薬量は?)
3)その結果、予想される津波などの被害は?
といったことが固体地球物理を専門としていない私にはわかりません。専門家のご意見が聞けると幸いです。
by Y.K. (2006-09-04 01:06) 

MANTA

- コメントありがとうございます > テレマーカーさん
>人間じゃあ、本当のところはわからないんでしょうね。多分・・・。
地球で生まれた生命体が、母なる地球システムを理解できるか? 永遠のテーマかもしれませんね。でもちょっとずつやるですよ。人類のためになると信じつつ。。。

- 宮沢賢治、すごいっすね!>mitsuto1976さん
なんという作品か覚えておられますか?

-  Y.K.さん、はじめまして!研究者にご意見いただけると、ちょい恥ずかしいです。
ご質問ありがとうございます。わりにシンプルに回答できますよ。うーん、次の記事にします。
日本沈没第2部もよまなきゃなぁ… 船に持っていくかな?
by MANTA (2006-09-05 09:51) 

mitsuto1976

MANTAさんこんばんは。

宮沢賢治の作品、「グスコーブドリの伝記」です。
主人公は火山局技師の青年。冷害による飢饉から人々を救うべく彼は…
是非一度読んでみて下さい。文庫本で手に入るみたいです。
しかし、70年以上前に温室効果をモチーフに童話書いてたなんて、ホント凄いな宮沢賢治。
by mitsuto1976 (2006-09-06 23:35) 

MANTA

- ありがとうございます!これですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/グスコーブドリの伝記
本屋で探してみます。さすが農業指導者ですね > 宮沢賢治
by MANTA (2006-09-07 06:46) 

sけ

いやだー
by sけ (2011-01-14 19:37) 

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