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電磁気で地震予知 ~13年間の進歩 (4) [ 電磁気で地震予知]

筆者も忘れてしまいそうなくらい、久々ではあるが連載の続編を書いてみたい。
というのも、先日の1/17で、阪神大震災から13年が経った。
このブログでもいろいろ書きたい気持ちはあったが、17日には書けなかった。

あの日のニュース映像を今みることができるサイトがある。
見ると…涙が出てくる。あのときの気持ちは一昨年の記事で多少は触れてはいるが、
13年経っても私自身のいろんな思いを消化(昇華)できていない。

そんな13年間ではあるが、この間に地震予知の科学はどれほど進歩したのだろうか?
イチ研究者として、せめてそれくらいはこの連載の場を借りて考えてみたい。

ここ10年ほどの地震予知の進歩に関しては、ちょうどよい資料がある。
●地震予知の科学(東京大学地震研究所 2004年公開講義)
 http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/panko/openlec2004/openlec_exibition/prediction.htm
これをもとにして、どんな進歩があったか見てみよう。

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その1:GPSにより地殻変動がよく分かってきた

 いまやカーナビでも携帯でも利用されるGPS

かつては地面の変形を広い範囲で細かく知る方法はなかったが、GPSの出現により
事態は一変。いまやアジア地域の変形の様子を知ることも出来る。例えば、日本列島が
インドや中国から力を受けている様子が分かってきている。けして政治や経済の話では
なくて、実際の地面の変形の話である。

GPSの仕組みはこうだ。まず衛星からの電波をアンテナで受信する。
(携帯の場合はアンテナは内蔵されてしまっているので意識していないだろう)
電波が届くのにかかる時間がわかれば、衛星からの距離が分かる。
複数の衛星からの距離がわかれば、地球上の位置を知ることが出来る。

アンテナを地面に固定してしまえば、今度は地面の動き、つまり地殻変動を測ることが
できる。この場合はcm単位(いやそれ以上)の精度が必要なので、上のマンガのように
複数のアンテナで同じ衛星からの電波を受信して、できるだけ精度を上げるようにする。

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その2:実験により、岩石の摩擦の様子が分かってきた
室内での様々な岩石実験により、岩石のすべる様子がだんだんと分かってきた。
ゼリーと台で簡単に説明しよう。


まず台の表面がザラザラの場合
ゼリーを押していくと、どんどん変形していって、あるところで急にズルッとすべる。
すべる量も大きい。


次に台の表面がつるつるの場合
ゼリーを押していくと、あまり変形しないうちに、ツルッとすべる。
頻繁に滑る。すべる量は大きくない。


最後に台の表面が鏡のようにツルピカの場合
ゼリーを押すとスルスルーとすべっていく。ひっかかることなくすべり続ける。

このように台の上=断層面の条件によって、3種類のすべり方があるらしいことが
分かってきた。またズルッと一気にすべる前に、チョロっとすこしだけすべる場合が
あることも分かってきた。実際の地震に当てはめれば、巨大地震の前に、小さなすべりが
あるかもしれない。

---
その3:地震観測網により「アスペリティー」が発見された
地震は、上のアニメのように断層が急にズルッとずれる現象だが、断層がどこも
同じ量だけずれるわけではない。最近の地震観測網のデータについて、P波・S波の
到達時刻だけでなく、地震の揺れの周期や大きさなど、地震の波の特徴すべてを
説明しようとすると、1つの地震で断層面のどの部分がどれくらいすべったが分かってくる。

その結果、地震に伴って断層が大きくずれる場所は”断層全体のほんの一部分らしい”
ことが分かってきた。この地震の際に大きくすべる断層の箇所を「アスペリティー」と呼ぶ。

同じ断層なのに、なぜこのような「アスペリティー」が存在するのだろうか?
どうも「その2」の実験の結果と関係がありそうだ。

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ここ10年程で10大発見くらいあるらしい。続きます。

追記(5/11): あっさりと書きすぎてしまった感のある「アスペリティー」に関して、下記サイトで
詳しく解説されています。ご参照下さい。
●地震のしくみと地震予知(1) (ブログ「EARTH, OCEAN, and LIFE」さん)
 http://blogs.yahoo.co.jp/edy7oceans/41411702.html

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kaoru

おはようございます。
1/17の事は、決して忘れることが出来ないです・・・
地震予知科学の進歩は、凄いのですね。
by kaoru (2008-01-24 09:28) 

yann

何となくですが、ちょっとだけ分かったような気がします。
科学は、日々進歩してるんですね。
by yann (2008-01-24 14:18) 

SAKANAKANE

ピエゾ素子みたいなモノを埋め込んで、モニタリングとか出来ないのかな~?
by SAKANAKANE (2008-01-25 00:44) 

MANTA

>1/17の事は、決して忘れることが出来ないです・・・
kaoruさん、忘れられないし、忘れてはいけないと思います。
以前、愛知県である方に1945年に起きた三河地震のお話を聞いたことが
あります。家は全壊して、納屋で1ヶ月生活されたそうです。
戦中でも、戦後でも、震災のひどさは変わらないようです。

三河地震の震災体験などについては本が出ているようです。
http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/~kimata/mikawa60.html
by MANTA (2008-01-25 07:35) 

MANTA

>何となくですが、ちょっとだけ分かったような気がします。
説明不足で恐縮です。ここでは概観だけ列挙させていただきますので、
(でないと何ページ書いても終わらない!) もし興味をお持ちのようでしたら、
詳しくは上記の地震研究所さんの資料をお薦めします~

>ピエゾ素子みたいなモノを埋め込んで、モニタリングとか出来ないのかな~?
SAKANAKANEさん、そう思われる人は多いようです。
次の連載記事でお返事させていただきます!
by MANTA (2008-01-25 07:49) 

竜

あの震災の日、たまたま早朝の電車に乗るため車で駅に向かっていました。確か6時直前くらいで、車のラジオでNHKが「震源が淡路島で規模がM7.2」と第一報を報じていました。思わず「えっ!?神戸のすぐ側では?」と耳を疑い、電車が到着した駅でテレビの映像を呆然と見つめていたことを思い出します。

三河地震の本、本当にお勧めです。こんなアプローチで昔の震災体験を再現できるんだぁと目から鱗でした。著者のお一人がかつての研究室の後輩なのでちょっとひいき目ですが(でも買う価値あり)。

GPSの地殻変動検出精度、現在では水平方向で2-3mm、垂直方向で10mmといったところ。でも、大地震の予兆と考えられている滑りを捉えるには残念ながらまだまだ精度不足です。
#一応自分のD論ネタでした。
by 竜 (2008-01-26 00:27) 

MANTA

竜さん、コメントありがとうございます。
>電車が到着した駅でテレビの映像を呆然と見つめていたことを思い出します。
はじめは暗くて、よく分からなかったんですよね。
ヘリコプターが飛べる明るさになってからはっきり惨状がみえてきたときの
ショックを、いまもよく覚えています。

>GPSの地殻変動検出精度、現在では水平方向で2-3mm、
>垂直方向で10mmといったところ。
いや、凄いですね。それを全国規模で展開してるんですから。
大地震の直前のすべり検出は難しいかもしれませんが、次の連載記事
で紹介する予定の「ゆっくりすべり」は検出できます。これも予兆と言えば
予兆かもしれません。
by MANTA (2008-01-26 08:36) 

さよ

26日に能登で震度5弱の地震がありましたが、
緊急地震速報は流れなかったそうです。

地震の揺れで起こされたようなものなので、
速報が流れていても
私の役には立たなかったのですが、
線引きって言うのは難しいものだと思いました。

でも、研究する努力は必要なんだと思います。
by さよ (2008-01-28 11:43) 

letterwritingday

私の姑は三河地震を経験していて、以前話をしてくれた事があります。
閃光のような発光現象を見たそうです。その話を聞いたときは、そんな事があるのかなぁ…と少し不思議に思っていましたが、阪神大震災のときにも同様の目撃談があり、今は姑の話を信じています。
by letterwritingday (2008-01-28 18:07) 

竜

>letterwritin.. さま

よそ様のブログだし、MANTAさんの方が恐らく専門家ですが、実は地震に伴う発光現象ってそう珍しくないんです。複数の古文書に記載ありますし、地震学会の論文誌「地震」の1932年版に武者金吉という方が「南日向地震に伴ひたる発光現象について」という題目で論文を出されているほど比較的古い研究分野でもあります。
#意外と一般の方には知られていないのかもしれない

最近では、名古屋大学で
http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/EVENT/program_WS.pdf
こんなシンポジウムがあったようですし、大阪毎日放送(MBS)のサイト
http://www.mbs.jp/voice/special/200708/09_9591.shtml
にも記事出ていますので参考までに。

問題は「地震と同時、ないしは直前(1分以内)の発光現象」ではなく、数10分から数日とかの時間スケールで先行する"発光現象"が存在するかという点ですが、これはまだちゃんと確認されていないのではないかなぁ。
by 竜 (2008-01-28 21:42) 

MANTA

>26日に能登で震度5弱の地震がありましたが、
>緊急地震速報は流れなかったそうです。

さよさん、そのようです。実は震度は気象庁、緊急地震速報は防災科学技術
研究所がそれぞれ主体となって公開しているので、今回のような「食い違い」
が生じてしまいます。今回は数字があいませんでしたが、緊急地震速報
自体はちゃんと動いていたそうなので、安心することにいたしましょう。
by MANTA (2008-01-29 08:34) 

MANTA

>私の姑は三河地震を経験していて…閃光のような発光現象を見たそうです。
letterwritingdayさん、三河地震の発光現象は有名なんだそうですね。
一度、目撃された方のお話を聞いてみたいものです。

>よそ様のブログだし、MANTAさんの方が恐らく専門家ですが、
竜さん、情報ありがとうございます。そのための「コメント欄」です。
ご紹介いただいた研究者もよく存じております(汗)

岩石を壊すとちょっとだけ光る、という実験は以前から報告されています。
ただし、観測された発光現象を説明できる明るさなのかどうかは、まだ
分かっていません。そもそも地下でいくら光っても空は明るくなりません。
地表が光らないといけませんが、たいていは草木・土・コンクリート・アス
ファルトで覆われているので、これらが光らないといけないでしょう。
そのためか、海が光るという説もあるそうです。
by MANTA (2008-01-29 08:56) 

letterwritingday

レスをありがとうございます。少し書いてもよろしいですか?

姑が申していた事を今覚えてる部分だけ書きますと、
夜、大きな地震があってあわてて自分の姑といっしょに外に出た。
三河の方から福井の方に向かって、一瞬すっと白い光が走った。
雷みたいだけどもちょっと違う…一本の白い筋のような光だった。
(地図など見るのが好きな人ですから方向などは意外と正確なのではと思います)
屋根の瓦が何枚か落ちてとても恐かった。
庭のクスノキ(大木です)にしがみついておさまるのを待っていた。
(場所は岐阜県の東濃地方の山間部で三河湾あたりから見ると北北西です。三河からは山も挟んでいて距離もありますし、はたして瓦が落ちるような震度だったのか…)

地震は本当に恐いです。予知がどんどん進んで、被害が少なくてすむようになってほしいです。
by letterwritingday (2008-01-30 01:07) 

MANTA

- フシギですねぇ。阪神大震災のときは、切れた電線からでた火花だという
説もあるそうですが(しかしそれでは竜さんご紹介のサイトの目撃例は説明
できない)、1945年当時ではそれはムリです。
さてこういう現象はどうやって追いかければよいだろうか…数回あとの本連載
で取り上げてみる予定です。
by MANTA (2008-01-30 08:58) 

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