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電磁気で地震予知 ~大気イオンで地震予知?(13) [ 電磁気で地震予知]

静岡県沖で大きな地震があって10日ほど経ちました。名神高速が通行止めになったりして
大騒ぎでしたが、その後の静岡周辺の皆さんの生活は元に戻ったのでしょうか?
さて、そんな静岡県沖の地震でしたが、あるNPOが大気イオン濃度の異常からこの地震の
前兆をキャッチしたとの発表がありました。しかしこの異常は自然現象とはいいがたいものです。

●駿河湾の地震(M6.5)の前兆とらえる ~予測首都圏大地震とは異なる地震が発生~
 (NPO 法人 大気イオン地震予測研究会e-PISCO)
 http://www.e-pisco.jp/npo/pr/pr090811.pdf

こちらの資料の9頁によれば、緑色のグラフ(静岡県沼津での大気イオン濃度)が8/8~9に
振り切れるほど大きな値を示しています。そして8/11に静岡県沖の地震が発生しました。

fig1.jpg
            概略はこんな感じ

沼津が今回の地震の震源から近いことを考えると、地震の前兆であるにように見えます。
しかしよくよく見るとこのグラフ、変ですよ。

まず8/8、8/9ともに深夜には異常がでてません。さらによく見ると昼間にも異常値が
小さくなっています。地震活動や地殻変動は昼夜問わずに継続しそうなものですが、
なぜ”休む時間帯”があるのでしょうか?そこで9頁のグラフから時刻を読み取ってみました。

fig2.jpg

まるで大気イオン濃度には「9時始業」と「18時終業」、さらに「お昼休み」もあるようです。
もうお分かりですね? 8/8~9の大気イオン濃度変化は自然現象と言うよりも人間活動に
伴うものです。これは予想ですが、工場などの何らかの機械がON・OFFすると大気中の
イオン濃度が変わるのではないでしょうか? あるいはその機械は始業~終業(除 昼休み)
には毎日ONですが、8/8~9は風向きによって観測点にイオンがたくさん届いたのかも
しれません。いずれにせよ、人為的影響が明らかなデータに基づいて「地震の前兆を捕えた」
と発表するのは、いかにも拙い予知予測です。

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一方、大気イオン濃度異常から地震発生時期を特定する方法も、極めてあいまいです。
今回は8/8に”前兆”がでて、3日後には地震が起きました。しかし同時に千葉・南房総や
神奈川・厚木では大気イオン濃度異常が頻繁に観測されています。これは「5月末以降
発表している首都圏での大地震予測に絡む前兆現象」だと資料2頁目に解説されています。
ある地震は前兆から3日後に起きて、なぜ別の(まだ起きていない)地震は"前兆"から数か月
経っても起きないのでしょうか? 

この「首都圏での大地震予測」の発生時期は、度々延期されています。
6/23以前は「6月末までに起きる」としていたようですが、
(例:http://www.e-pisco.jp/r_ion/attention/090623.html
  ↓ ↓
現在は「8月中旬から9月末にかけて」に変わっています。
(例:http://www.e-pisco.jp/r_ion/attention/090805.html
こんな発生時期予測だったら誰にだってできます。予測時期延期を繰り返して地震が
起きれば「やはり起きた」と言えばよいし、仮に起きなかった場合は「地震以外のプロセスで
歪が解放されたようだ、ヨカッタ」と言えばよいでしょう。これを事後予知といいます。

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どんどん怪しくなる大気イオン濃度による地震予知。そのメカニズム(仮説)は
大気中のラドン濃度の変化だそうです。
●地震前に大気イオンが発生するメカニズム(仮説)
 http://www.e-pisco.jp/r_intro/ion/intro_i1.html
しかしこの連載で解説した通り、ラドンでは地震予知はできません。しかも神戸の地震で
観測されたラドン濃度異常は(まがりなりにも)地震発生のその日に向かってどんどん
増えてましたが、大気イオンの観測値は日によって強くなったり弱くなったりしているだけ
で、ラドン濃度変化を反映しているようにも思えません。測定個所を増やせば、もっとよい
観測結果が得られると考えてはいけません。前兆現象そのものに頼りすぎる姿勢を改める
べきでしょう。詳細は下記をご覧ください。
電磁気で地震予知 ~地震予知のやり方(2)
電磁気で地震予知 ~前兆現象の罠(3)
電磁気で地震予知 ~続・最新科学で地震予知は可能か? (10)

ひょっとしたら本物の前兆現象も混じっているかもしれないのに、科学的議論や検証が
お粗末ではもったいない限りです。

----
おまけ:
●<静岡の地震>余震は想定東海地震のプレート境界面で発生
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090822-00000017-mai-soci
下手な地震予知よりも、こっちの地震観測結果のほうが確かで、そして怖い。
気象庁さん、しっかり観測のほどお願いします。頼りにしてますよ!
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コメント 7

papa

すごーーい!
予期できると良いんですがね。
by papa (2009-08-23 22:50) 

みきぱぱ

ご紹介いただいたHP、ツッコミどころ満載のようです。

特に「阪神淡路大震災(1995年)の後、宏観異常情報」のページでは、
http://www.e-pisco.jp/r_intro/koukann/exp.html
いろいろな証言が書かれた後、

「※これらの証言がすべて地震の前兆現象であるとは限りません。」
ですと。orz

某SNSで教えてもらった「 たこちゃんの「地震予知情報検証・公開実験のページ」」(最近更新していないのが残念)
面白かったです。
http://www.geocities.jp/tako_m8/index.html


by みきぱぱ (2009-08-23 23:42) 

Working Dad Oversea

面白い投稿だったね。

この大気イオン量、土日祝日とか、お盆とかお正月とかはどういう挙動をするんだろうね。
長期観測したら、日本の景気変動との良い相関が取れる?

ところで、大気イオンって、具体的には何のことだろうね。
by Working Dad Oversea (2009-08-24 04:33) 

異邦人

こんにちは。お邪魔します。
大気イオンは難しい。
PISCOのデータはこの5年ほど見ていますが、とにかくまだまだ発展途上かと…。
まず、測定器が昨年でしたか、一気に新機種となりました。機種変の理由は、一言で言えば信頼性です。なのでそれまでのデータが使えるような使えないような。
また、新機種になって以降、測定器周辺での大きなイベントがらみのデータがあまりありません。
ただ、地震との関連性は全く無いとは言い切れない、と言うのも、神戸のデータ以来、持っている私見です。
静岡で個人的に大気イオンを観測されている方がおられまして、そちらのデータを見ていると、先の駿河湾での揺れの際、地震に先行して数日前にデータに変化があったわけではないにしろ、揺れた当日にはこれまでの観測とは桁違いの「値」を記録し、その後も余震活動に合わせてか、頻繁に変動があるようです。
http://www11.ocn.ne.jp/~juno/pagenew.html
これを見ていると、やはり関連性はありそうなのですが、厳密な予測には難しい手法ではないかと思っています。

お父さんの巨大なオナラはお風呂の中でだって震源がわかるのになぁ。
でも、そのお風呂にお父さんごと蓋(地殻)がしてあったら、震源はわからないか。
あ、その前に、お父さんは自爆で自沈してるか。南無…。

by 異邦人 (2009-08-24 07:50) 

MANTA

>すごーーい!
>予期できると良いんですがね。
papaさん、そういう期待は私も持ちたいですが、現状ではまず無理です。

>特に「阪神淡路大震災(1995年)の後、宏観異常情報」のページでは、
>いろいろな証言が書かれた後、
>「※これらの証言がすべて地震の前兆現象であるとは限りません。」
みきぱぱさん、宏観現象についても面白い例がありました。またこの連載
でご紹介しますね。

>面白い投稿だったね。
Working Dad Overseaさんに喜んでもらえれば本望です(笑)
本当に大気イオンが何に関係しているのか、このNPOにはきちんと調べて
ほしいですね(私はやる気はありませんが)。景気が予測できたりして。
なお大気イオンは、大気中を漂うイオンそのものや、エアロゾルにイオンが
付着したものを指すようですよ。
by MANTA (2009-08-24 20:49) 

MANTA

>PISCOのデータはこの5年ほど見ていますが、とにかくまだまだ発展途上かと…。
異邦人さん、本当に発展していますか?私が見たところ、1995年の頃と
なんら変わっていません。機種変更をしてみても戦略がなければ何も生ま
れない、と思います。

>静岡で個人的に大気イオンを観測されている方がおられまして
存じております。近いうちに記事にさせて頂きます。こちらの予測のほうが
ずっとよいと思っています。ちなみに、「先の駿河湾での揺れの際…揺れた
当日にはこれまでの観測とは桁違いの「値」を記録し」とありますが、それは
地震による揺れ(J指数)であって、大気イオン濃度の変化ではありません。
by MANTA (2009-08-24 20:56) 

MANTA

追記:1年前にあれだけ大騒ぎした関東圏大地震はいったいどこに行った
のでしょう…? 理事長の年頭のご挨拶には触れられてもいませんね。
http://www.e-pisco.jp/npo/info/100121.html
情報を広く公開し、地震予知の可能性を社会に問う意義は認めますが、
誤報がなぜ誤報であったかを反省することも必要でしょう。
by MANTA (2010-07-05 20:31) 

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