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次の大地震はどこか?~余効変動~ [ 電磁気で地震予知]

東日本大震災発生から二ヶ月が経過した。あっという間だ。それだけ災害が大きかった
ということか。しかし余震や誘発地震に対してはまだまだ注意が必要で、たとえば
前回の連載記事にも書いたが、日本海溝より海側での大地震が指摘されている。

今回は東日本のどこで次の大地震が起きそうかを私見であるが述べてみよう。
これは地震予知ではない。「もし次の場所で明日(あるいは10年後に)、M8の大地震が
起きたとしても、専門家は驚かないだろう」というレベルの話なので慌てずに読んでほしい。

◆ 房総沖が危ない
房総沖合では、太平洋プレートと日本の地殻の間に挟まっているフィリピン海プレートが、
今回の地震の破壊の連鎖を食い止めたような雰囲気である。
map.jpg
図は”地殻の破壊、茨城県沖で止まった…その理由は?”より。
(www.yomiuri.co.jp/science/news/20110324-OYT1T00611.htm)
元ネタはこちら:東北地方太平洋沖地震、震源域南限の地下構造(JAMSTEC)
http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/maritec/donet/tohoku1103_2/

しかし今後もずっと、破壊が止まったままなはずはない。非常に単純に考えると「今回地震を
起こした地域の隣が危ない」わけで、破壊が止まったその先、房総沖合には歪が溜まっている
はずだ。このことはすでに多くの専門家によって指摘されている。
●地震学者 房総半島沖での大地震発生の可能性を指摘
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110318-00000000-pseven-pol
また前回の「赤青分布」の図でも、房総沖合の地域f(赤色)には歪が溜まっているようだ。

「赤い地域」と言ってもすでに今回よりも以前に大地震を起こしていて、歪を解放して
くれていればよいのだが、どうもこの地域では、ここ100年くらい大きな地震は起きていない。
未来永劫起きないわけでもなく、1677年の延宝房総沖地震(M8.0)が知られている。
●津波浸水想定区域図の項目説明(茨城県)
 http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/doboku/01class/class06/tsunami/aboutmap.html
●想定日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震区域の津波防災情報図(第三管区海上保安本部)
 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN3/bosai/tsunami/htm/nihon.htm
 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN3/bosai/tsunami/htm/nihon.htm
この時の津波は最大で8-10m。同地域では1953年にも小さめの地震が起きていて
その時は2-3mの津波が来たそうな。
●1677年延宝房総沖津波の波高偏差(羽鳥徳太郎, 歴史地震, 2003)
 http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_19/01-Hatori.pdf
房総沖では現在も余震活動も低めで、かえって不安である。
沿岸部の方は津波に注意いただきたい。

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◆ 余効変動の恐ろしさ=東北の内陸が危ない
前回の連載記事で、福島で起きた余震(M7:地域iiiの南)はうまく予測できなかった
というようなことを書いたのだが、どうやら私が不勉強であった。この地域では巨大地震で
大きな地殻変動が発生したが、その後もあまり地震を起こすことなく地殻変動が継続してる
らしいのだ!! これは以前、本連載で取り上げたこともある「ゆっくりすべり」と同種のすべりが
原因だが、大地震前ではなく後に発生するために、特に「余効変動」と呼ばれている。
(この時の断層面のゆっくりすべりは「余効すべり」だそうな)

国土地理院のホームページでは余効変動の様子が紹介されているが(下図)、巨大地震
の発生後のゆっくりとした地殻変動(ピンク)は、本震時の急激な地殻変動()の実に
数分の1~半分程度の大きさにまで達している(2ヶ月間で)。
新規作成_1.jpg
●電子基準点(GPS連続観測点)データ解析による地震後の変動と滑り分布モデル(暫定)
 http://www.gsi.go.jp/cais/topic110314-index.html
 ※地震時・地震後の変動比較(水平)を参照

例えば福島県はこの余効変動で、東西に10cm以上引き伸ばされている。地震後の
2ヶ月間でジワリ、ジワリと。これは平常時の地殻変動の速度の約10倍だ。
これじゃあ福島で正断層タイプの地震が起きるはずである。
map_s.jpg
図は「東北地方太平洋沖地震について(速報)(防災科研)」より。
http://www.bosai.go.jp/news/oshirase/20110323_01.pdf
本震直後から東日本の火山地域(V)や、内陸部・縁辺部(A~D)では地震活動が
盛んになっている(その後、落ち着いたところもある)。福島県以外も大きな余効変動の
最中なので、活断層でのM6~7程度に注意が必要だ。この余効変動は今後10年間くらい
継続するだろうと言われているが、ニュース等ではほとんど報道されていない。

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◆ 青森沖は安全?
一方、前回の「赤青分布」の図で、青森県東方沖の地域1(赤色)も赤く塗られているが、
ここは大丈夫なように思う。というのも2002年当時のGPS観測により、青森県沖は歪が
溜まっていないようにみえるからである(下図:地震・火山噴火予知研究協議会H14年度
成果資料より)。この地域は1968年の十勝沖地震(M8程度)で歪を解放したのかも?
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/YOTIKYO/14seikahoukoku/tohoku/0502.3/0502-3-fig1.png
(東北大学による「稠密GPS観測による断層近傍の歪場の時空間変化の推定」より)
(赤いところほどプレート境界が固着=今回の巨大地震の破壊域は予言されていたのだ)

また茨城県沖合の海溝付近の地域C(ここも赤色)についてはよく分からないが、その少し
北の海溝付近では海底がものすごく大きく滑っている(下記)。地域Cの海底も多少、
お付き合いして滑っているようならば、しばらく大きな地震は起きないかもしれない。
●東北地方太平洋沖地震に伴う震源域近傍における海底変動(JAMSTEC)
 http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20110428/

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一般に、本震のマグニチュード-1くらいの大きさの余震が起きることが多いが
今回は一番大きかった地震はM7.7だったそうだ。M8クラスの余震が起きる可能性
はまだ十分にある。上記の地域の方々は注意をすべきだろう。
…んっ??では、地震発生が長年危惧されている東海地域はどうなのか??
続きます。
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yao

おお、ありがとうございます。
とても参考になります。

地震予知ではなく 予測 としてしっかりと準備をしておきたいと思います。

日本に住んでいる以上、地震からは逃げられませんから。
準備することで、被害が小さくなる。

私は日本が好きなので、日本から離れることはないと思いますが。(行くあてもありませんけどね。)
by yao (2011-05-17 20:35) 

MANTA

yaoさん、予知ではなく予測、そのとおりです。いまの科学ではそこまでしか
できないのです。ただ今回の災害ではっきりしたことは、堤防や建物をいくら
堅牢に作っても、あっさり壊れるということ。土木工学的に人命を守るのに限界
はあり、絶対的安全・安心はありません。土木技術の一層の進歩とともに
地震予知・予測の高精度化への要請も高まるでしょう。

私たち個人がいまできることは、せめて家具を固定するとか、非常食を用意
することくらいです。でも私はまだ何もやってないなぁ。。。
ちなみに私も日本は好きです(^^)
by MANTA (2011-05-18 07:35) 

乾物屋

毎回のエントリーとてもよくわかるし、参考になります!

>地震予知ではなく予測として
yaoさん、MANTAさんに全く同感です。

>準備することで、被害が小さくなる。
まさに減災ですね。絶対的安全・安心はないので
予測>準備>(減災)>復旧>復興のサイクルを
繰り返すしかありません。

今朝、伊丹から岩手花巻へ同級生が交代要員で出発しました。
今でこそ普通のお客様が増えましたが、初めは救援チームの
チャーター便の様相でした。ユニフォームにリュック、メット
機内では寝るか地図・事前資料などの予習でした。
       
               乾物屋@ITM出発ロビー(笑)
by 乾物屋 (2011-05-18 11:04) 

ばん

地震列島の日本に生まれたからには、多少の覚悟は必要でしょうネ。
予測がつかないのが怖いです。
本当の事は専門家でもあまり分からないのでは???。
今後何もない事を祈って止みません。
by ばん (2011-05-18 23:54) 

MANTA

乾物屋さん、お疲れ様です。地震発生もサイクルと考えられていて、発生前を
「地震準備過程」と呼んでます。地震だけでなく、人類ももっと準備できるよう
今回の地震のデータ解析に期待したいと思います。

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>地震列島の日本に生まれたからには、多少の覚悟は必要でしょうネ。
>予測がつかないのが怖いです。
ばんさん、困難なときこそ、知恵や科学が必要だと私は思っています。
阪神大震災後、地震学はぐっと進歩しました。調査予算がたくさんついた
からではなく、「なんとかしたい」という研究者の気持ちの結実だと思います。
地震予測学は、今後またぐっと進化することでしょう。
by MANTA (2011-05-19 05:54) 

ジュンクワ

>「なんとかしたい」という研究者の気持ちの結実だと思います。
>地震予測学は、今後またぐっと進化することでしょう。
私もそう思います。それが現代人の証でしょう。

by ジュンクワ (2011-05-20 23:35) 

MANTA

ジュンクワさん、科学はある「想定内(仮定内)」で行われることが多いです。
仮定が誤っていれば、結果も間違ったものとなります。今回の地震は、自然が
「お前たちはちょいと間違っておるぞ」と、人類をたしなめるというか、挑戦状と
いうか?を突きつけてきた感じを私はうけています。それはそれは悔しいです。
一方で、仮定・想定を見直し、乗り越える。人類が今までやってきたことです。
負けてたまるか。
by MANTA (2011-05-21 07:44) 

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