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高校生からの質問(2) [ 電磁気で地震予知]

前回の続きです。高校生からの質問にどんどん答えていきます。

Q.地震速報はどうやって地震を予知してますか?
 今のテレビ等の地震の予測はなんですか?
緊急地震速報関係は最もたくさん質問をいただきました。テレビであれだけ
「緊急地震速報です。強い揺れにご注意ください」ってやってますからね。
でも緊急地震速報はいわゆる地震予知ではありません。仕組みはこうです。
 1) いくつかの地震観測点で強い揺れが観測されて、
 2) そのデータから大地震と判断されたら、
 3) まだ揺れが届いていない地域へ「これから○秒後に揺れるよ!」
なので、残念ながら震源直上の地域には緊急地震速報は間に合いません。一方、今回の
東北沖の地震は沖合で起きたので、緊急地震速報が間に合った地域もありました。
緊急地震速報の仕組みについては下記を見てね。
●緊急地震速報のしくみと予報・警報(気象庁)
 http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/eew_naiyou.html
●緊急地震速報、惜しかった
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-05-09


なお海底に地震観測点があれば、沿岸域でも揺れる前に緊急地震速報が発令されます。
今回の地震はどうだったんかな? たしか釜石沖の海底に地震計があったんやけど。
ちなみに釜石沖には海底に水圧計も置いてあって、今回の津波を海底の水圧変化として
検出できました。沖合50kmくらいの場所で、津波の高さはすでに5m! 地震計も水圧計も
海底ケーブルにつながっていて、今回の地震でも陸上へデータを送り続けていました。
 新規作成_1.jpg
 東京大学地震研究所広報アウトリーチ室のページより。15:18くらいに記録が途切れて
 ますが、津波で海底ケーブルの陸上局(データ転送機など)が流されてしまったためらしい。
 
では次の質問。
Q.緊急地震速報は結局意味ないんですか?
そうですねぇ、上に書いたように、震源の直上とか、直上でなくても震源に一番近い
観測点の付近では、緊急地震速報は間に合いませんね。でも私自身、地震の際に東京
の地下鉄に乗っていましたが、相当揺れて恐怖を感じました。ただ、緊急地震速報の
おかげで揺れ始める前に地下鉄は停車しましたので、私は感謝しています。
その時の詳細はこちら。 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-03-12
また過去にも下記のような記事を書いてました。
→ 無用の警報装置  http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2007-09-03
→ 続 無用の警報装置 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2007-09-11

どんどん行きます。次の質問。
Q.地震を止めることはできないのか?
 断層のすきまにゼリー状のものを流し込んで揺れを小さくすることは可能ですか?
地震は地球の鼓動のようなものです。地球の上を覆っている硬い岩盤(プレート)
同士が押し合ったり擦れたりして、地震が起きます。地震を止めるにはプレートの
動きを止めないといけません。それは無理です。一方、ゼリーを流し込むことも難しい。
水を押し込むのと同じです(こちら)。でもこういうテクノロジーが発達すれば、将来、
地震を止めることができるかもしれません。みんなで色々考えてみてください。

では本日最後のご質問。
Q.南海トラフの最近の動きはどんな感じなんですか?
 三重県の下はどうなっているんですか?三重の被害は?
まず三重県の下には、フィリピン海プレートが沈み込んでいます。このために三重県(というか
紀伊半島)の沖合は水深4000mを越える深い谷になっています。これが「南海トラフ」と呼ばれて
います。南海トラフ沿いは、普段は大きな地震は起きてませんが、実は人知れず「ゆっくり地震」
が起きています。三重県の下をまるで旅しています。詳しくはこちら。
→ 旅する「ゆっくり地震」 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-12-09
これを利用して地震予知ができないか?とも期待されています。
→ 巨大地震とゆっくり地震 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-12-11


さて三重県での被害ですが、まず南海トラフで地震が起きる場合。
●想定東南海地震の想定震源域
 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/kaiko/k24_tonankai.htm
やはり大きな津波が来ると思います。また同じ海でも伊勢湾の中で地震が起きる
可能性もあります。さらにさらに、陸地にも活断層が走っています。
●伊勢湾断層帯
 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f097_isewan.htm
●布引山地東縁断層帯
 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f071_nunobiki-sanchi.htm
最後のは、県庁所在地の津市のすぐ横を南北に通っていますね。
三重県はまるで活断層に囲まれたようになっています。どの断層がいつ動いて地震を
起こすのか分かりませんが、3つの異なるタイプに対応しておく必要があります。

最後に南海トラフの最近の動きですが、(講義でもお話ししたように)名古屋大学の研究
グループが、超音波とGPSの両方を駆使して、三重県沖の海底の動きを調査しています。
詳しくはこちら。
●海底地殻変動観測(名古屋大学)
 http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/tadokoro/kaitei.html
●駿河-南海トラフおよび琉球海溝付近における海底地殻変動(地震予知連絡会会報)
 http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou85/06_06.pdf
kaitei.jpg
上記の「連絡会会報」より。 ←いつも思うけど自治会の回覧板みたいな名前だ

海底に赤い矢印がいくつか見えますが、これが三重県沖などの海底の動きです。いまは
まだ数ヶ月に1回の測定ですし、観測点の数も限られていますが、これがリアルタイム
になる日も近いかもしれません。(そのためにはまだまだ研究開発が必要!!)

こうして私の講義をきっかけに、地元の活断層や地震対策に興味を持って
もらえたことはよかったです。さて、もうちょっと続きます。
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BERET

興味深い質問がたくさん寄せられていますね。
ふだんなんとなく見過ごしていることや、
よくわからないでそのままにしていることについて学んでみる。
そんな機会をもつことが、大切であると改めて思いました。
MANTAさん、海外でのお仕事、気を付けてください!
by BERET (2011-06-21 10:17) 

MANTA

>ふだんなんとなく見過ごしていることや、
>よくわからないでそのままにしていることについて学んでみる。
>そんな機会をもつことが、大切であると改めて思いました。
BERETさん、コメントありがとうございます。高校生に質問をしてみたのは、
本当によかったです。単に「眠たい講義にならないように」と思ってやってみた
のですが、皆さん、きちんと聞いてくださっていました!
高校生にお答えコーナーはあと2回ほど続きます。
でも結構答えづらい質問もあるよ!

by MANTA (2011-06-25 15:27) 

LH2

Q&Aシリーズ、興味深く拝見しています。
こんな風に専門の方が疑問に答えるような機会があると
科学リテラシに本当に効果があると思います。

断層面に注水はみなさん考えるんですね。
断層面全体は無理でも、上手く注水ポイントを決めて
アスペリティの連動を防いだり、震源域を分断して
地震の規模を小さくしたり…
なんだかSF小説が書けそうです。

そういえば、2004年に紀伊半島南東沖で地震がありましたね。
このころは大阪にいたので結構揺れた記憶があるのですが、
この位置って東南海と南海の震源域のちょうど間の、くびれ地点ですよね。

これも東南海・南海と関係がありそうなのでしょうか。
この付近の地震活動は平常時はほとんどないという記事を読んでいて「そういえばあったような…」と思い出したんですが、
なにか研究などあれば知りたいです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/紀伊半島南東沖地震
by LH2 (2011-07-02 11:52) 

LH2

・・・自己レスですみません。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/kiihantouoki2004/
http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/INFO/kihantou/kihantou.html

海洋プレート内アウターライズ地震だったんですね。
海溝型の前は圧縮応力が大きいので逆断層型、後は引張応力が大きいので正断層型が多くなると…。

ただ、発生原因については、十分な応力がたまったから、いや、そうではない、と色々な意見が書かれていて、素人にはよく分からないです…。

この後,この付近での地震の記録はあるのでしょうか。
陸側と同じように、海側にもゆっくりすべりのような現象があるのかなど、いろいろ素朴な疑問がわいてきます。
by LH2 (2011-07-02 12:13) 

MANTA

>そういえば、2004年に紀伊半島南東沖で地震がありましたね。
>これも東南海・南海と関係がありそうなのでしょうか。
LH2さん、ご自身でお書きのように、沈み込むプレートの中で発生した地震
です。プレート境界での地震ではありません。またこの地震の震源付近には
海洋プレート内に断層が見つかっています。下記ワードでご検索下さい。
「熊野灘に断層の巣 京大など調査、04年M7地震原因か」

>この後,この付近での地震の記録はあるのでしょうか。
Hi-netのここ1ヶ月の記録で見ても、なさそうですね。
ただ海側にもゆっくりすべりのような現象があることは知られています。
VLFイベントと呼ばれています(Very Low Frequencyな地震イベント)。
by MANTA (2011-07-06 12:54) 

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