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高校生からの質問(4) [ 電磁気で地震予知]

さて、高校生からの質問に答えるシリーズ、最終回です。

Q. 地震は人々に悪影響を与えていますが、地震の美点はないのですか?
これは鋭い質問です。というのも、地震の研究者は自分たちの研究の重要性を伝えようして
地震の恐ろしさを強調する傾向があります(たぶん私も)。「怖いから調べる」ってのは
科学的モチベーションとして間違ってませんが、そうですねぇ、美点ですね。
その1)自然と歴史を知る大事さを教えてくれる
我々人間はお調子者です。ちょっとイロイロうまくいくと、これまでサボらなかったことを
サボりはじめたり、守らないといけない言い伝えや言いつけも守らなかったり。でもそれって
ちょっとした経験で決めてないですか? 地球の長い歴史から見たら間違ってないですか?
こういう大きな自然災害にであうと人は厳しい自然と向き合って暮らさねばならないことを
思い出すことになります(大きな犠牲と共に)。

その2)地震のエネルギーを地下数百kmの調査に利用する
生物だけでなく、星も進化します。この星の進化を知るためには地下数百km~数千km
を調査したいのですが、そこまで掘ることはできません。ダイナマイト爆発の振動を使って
調査できるのもせいぜい地下数十kmです。そこで地震が作る揺れを利用します。大きな
地震の揺れは地球の裏側まで届くので、地球を「輪切り」にできるのです(本当に輪切りに
するという意味ではなく、地球の中の地震波の伝わり方が詳しく分かるという意味ね)
こうしてプレートの構造や何百km以上の深さのマントルの様子がわかるのです。

その3)もしもプレートが移動しなかったら?
以前お話ししたように、地震の大元はプレートの移動です。このプレート移動が止まると
地震は止まります。ところで、もしもプレートが移動しなかったら、地球はどうなるでしょう?
実はいま私たちの知る地球とはまったく異なる星になります。例えば日本列島はなくなる
でしょう。石油も天然ガスもたぶん採れません。地表や海で見られる生物の姿も大きく変わり
ます。人間は誕生しなかったかも? プレートが移動しないだけでなんでそうなるの?
これは宿題にしましょう。みんなで調べてみてください。

planet.jpg
ってことは、遠くの惑星にプレート運動の痕跡らしき地形が見つかったら、
そこには知的生命体もいるかも??

では次の質問。
Q. 主にどのような場所を調査するのですか?
私あての質問のようですね。大学生・大学院生のころは、山奥で調査していました。
特によく行っていたのが、徳島県脇町周辺と、岐阜県~富山県の県境付近。
どちらも大きな断層(中央構造線、跡津川断層)があってそこの調査をしていました。
特に岐阜県にはのべ2ヶ月くらいは滞在したと思います。懐かしいです。
博士号を取得してからは、一転、船に乗って海底の調査に勤しみました。
いろんなとこにいったなぁ。。。タヒチ、インド、ミクロネシア、シアトル、サンディエゴ、グアム。
詳しくはこちらをみてね~ → http://obem.jpn.org/field.html
さあて、次はどこへ行こうかなぁ?

Q. 自宅で地震が来たときのために準備していることはありますか?家を改造したりとか。
特に何もしてません。昔は緊急用の非常袋を用意していたのですが、最近引越しをしたので
一度整理・解体してしまいました(非常食とか水とか、古くなったからね)。また用意しなきゃ。
そういえば以前、地震関係の本(教科書じゃなくて、ムックという読み物)に載ってましたが、
「地震に対して何か準備していますか」って地震学の先生達に聞いてみたところ、ほとんどの
先生が「何も準備していない」と答えたそうです。専門家ほどそういう傾向があるのかなぁ。

次も私自身への質問ですね。
Q. なんでこういう研究をしようと思ったんですか?
Q. 地震の勉強をしてて楽しいことはなんですか
なんで研究しようと思ったのかなぁ?たまたま(笑) いやホント。人生っていろんな巡りあわせ
で決まるのですよ~  でも最初のキッカケは、小学校の時、自由研究で星座盤を自分で作った
ことかも。本を見ながら作っただけだけど、買うと何千円もするのを(紙だけど)自作できた喜びと
それで夜空の星座を見るとだいたいそのとおりだった喜び。あと担任の先生に褒められた(笑)
ことが重なって、とても嬉しかったことを覚えています。あと大学に入って、大学の先生達がとても
楽しそうに研究活動をされている様子が印象的でした。私も研究するぞ!と思ったものです。
もうひとつ、TVの影響も大きいですね。子供の頃はスーパーロボットアニメに夢中になりました。
(SF技術もさることながら、地球が汚れすぎて宇宙に住み始めたっていう物語の背景とか)
高校の頃はNHKの「地球大紀行」というスペシャルがあって、世界の広さに度肝を抜かれました。
あ、いろんなところに調査に行けるのも地球や海の研究者の大きな魅力でしたね。
img135.jpg
こんな感じ。カナダのバンクーバー島にて(こちら

地震の研究をしていて楽しいのは、「こうかなぁ」と思って調査とかしてみると「え、なにこれ?」
って感じで想像とぜんぜん違う結果が出てくることです。人智といったって知れています。
君たちの高校の教科書も20年経ったら間違えだらけなのです(っていったら、高校の先生に
怒られるかなぁ)。新たな知識や常識を編み出していく感覚が地震や地球の研究の魅力です。
これであと、地震の被害を(劇的でなくても、ちょっとでも)少なくできるなら良いのですが。
この点はまだまだ努力が必要です。頑張ります。

それではラスト2つ。地震予知関係ですね。
Q. これから地震が予知できるようになると思いますか?
なぜいつまで経っても地震予知ができないのでしょうか?これについては、この連載シリーズ
で改めて書きます(講義ではお話ししましたね)。近い将来にはできるようになるとおもいます。
ただ、皆さんの思うような予知とは違うかもしれません。予知というよりも予測といったほうが
よいでしょう。それでも少しずつ予測精度は進歩するでしょう。

Q. 地震が予知できないのならどう対応したらいいのか?
Q. これから有効になりそうな、期待できる地震対策の計画はありますか。
まず対応ですが、学校は結構安全です。怖いのは家の中です。地震でいろんなものが落ちたり
飛んできませんか?ちょっとしたケガでも病院などにすぐにはいけませんので、注意してください。
またご家族で、地震や津波の時にどうやって連絡をとるか、家以外の集合場所は?などを決めて
おきましょう。あとは3日程度の食料と水を非常袋に入れておく。こんな程度でも随分役に立つ
と思います。逆に言えば、この程度が私のできるアドバイスです。

さてこれから期待できる地震対策の計画ですが、これはこの連載で少しずつ紹介させて
頂くことにしましょう。あえて即答はせず、ゆっくり回答させてください。

というわけで、4回にわたってお答えしました、高校生からの質問。一応、文中の解説も含め
皆さんのご質問にお答えしたつもりです。私にとってもとても新鮮な経験になりました。
新たな疑問質問が湧いた方、コメント欄へお書き頂ければ幸いです~

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特別講義の帰りの車窓から。稲が青々。
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