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原子力発電の燃料代 [▼連載【資源エネルギーを考える】]

以前、停止中の原子力発電を補うためには、火力発電の燃料代はどれくらいかかるか
を試算した。例年は火力発電に約7兆円ほどかかっていたが、概ね3兆円ほど余分に
燃料代がかかるらしい(※これに火力発電施設の増強費は含んでいない)。
なるほど、電気料金が値上げになるわけである。
●<東京電力>大口向け電気料金を1日から値上げ
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120401-00000020-mai-soci

しかし、原子力発電が停止しているのだから、原発の燃料代は浮くはずである。
いったいいくらか?と調べてみたが、原発の燃料代・発電単価はどうにも不可解だ。
●「本当の原発発電原価」を公表しない経産省・電力業界の「詐術」
 http://www.jiji.com/jc/v?p=foresight_7604
●実は誰も分かっていない原発のコスト
 http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20110608/106639/?ST=print


※イメージ

いろいろ調べてみたところ、どうやら税金から燃料代が逆算できるようだ。
●核燃料税のあらまし(静岡県)
 http://www.pref.shizuoka.jp/soumu/so-140/kakunen_aramasi.html
私もはじめて知ったのだが、静岡県などの原発を持つ自治体は、原発の燃料に対して
税金をかけている。静岡県によれば、その税率は13%で、平成22年度から5年間で
浜岡原子力発電所から約169億円の税収を見込んでいたらしい。

これから浜岡原発の燃料代が計算すると、169億円/5年間/0.13=約260億円/年となる。
浜岡原発の1号機と2号機は2009年1月に運転を終了していて、東日本大震災前には
3~5号機が動いていた(3号機は定期点検中だった)。昨年5月以降、浜岡原発は停止
しているので、上記の税金がどうなってるか不明だが、原発1基あたりの燃料代は
平均で約87億円/年となる。日本全国では54基が稼動していたので、87*54 = 4698。

すなわち原子力発電の燃料代はおよそ5000億円となる。

これを火力発電で賄うと、5倍程度の燃料費が余分にかかるわけで、なるほど電気代は値上げ
になる。もちろんこれは燃料代だけの話であって、原子力発電には多大なメンテナンスコストが
かかるだろう。しかし維持管理のコストは電力会社としては努力のやりようはあるが、燃料代
だけはどうしようもない。くわえて、原発の燃料となるウランは石油のように政治的に不安定な
地域(中東)に集中してはおらず、世界のあちこちから調達できる。さらに年間に必要な濃縮
ウランの量は原発1基あたり、わずか21トン程度/年であり、国内には2年ほどの燃料が備蓄
されている(ちなみに石油備蓄は官民あわせて半年)。
これらを鑑みると、電力会社が原子力発電を手放さない理由も分かるというものだ。
●燃料の安定供給 - 原子力発電を進める理由(電気事業連合会)
 http://www.fepc.or.jp/present/nuclear/riyuu/supply/index.html
●原子燃料サイクルの意義(関西原子力懇談会)
 http://www.kangenkon.org/shiraberu/recycle/recycle2-1.htm

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それでも世間には「去年は節電で乗りきれたのに、電気代が上がるなんてけしからん!」
とお怒りの方は多い。しかし思い出してほしい。昨年夏は原発は半数くらいは動いていた。
だから値上げなしで乗りきれたのである。

原子力発電所が「アイドリング状態」であることも電気代が下がらない一因だ。下記をみると
定期検査を終えた原子力発電所は調整運転を続けており、どうやら国内の多くの原発は
「動いている」ようだ。つまり燃料代を除くと、原発運転のためのコストは、ほぼ減っていない。
●原発の調整運転長期化、保安院「法令上問題の可能性」
 http://www.asahi.com/national/update/0712/TKY201107120344.html

喩えれば、アナタがお花見に行くとする。「やっぱエコでしょ」と、電車・バスを乗り継いで
お花見に行く。しかしこのとき、自家用車は自宅でアイドリング状態で、エンジンは動き
続けているわけだ(そして走ることはない)。 これが今の日本の発電事情である。



いま、あらためて考えたい。
原子力発電を手放すのが「安全・安心」な世の中なのか、
それとも燃料代が安価で、政情不安などにも左右されづらい原子力発電を
手放さないことこそ「安全・安心」な世の中なのか?
暑い夏はすぐそこに迫っている。
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