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再生可能エネルギーの非力さ [▼連載【資源エネルギーを考える】]

  • manta33blogmanta33blog「TPPの交渉参加反対」とか「原発ゼロ」という政治家の話は、もう続きを聞く必要はない。交渉すらできない国家とは何か?放っておけば必ずそうなる原発ゼロを高々と掲げる意味は?11/25


衆議院選挙が公示され、選挙戦突入。もう不在者投票が始まっているそうな。ただし、
上記つぶやきの通り、「脱原発」「卒原発」は選挙のスローガンとしては無意味だ。
理由は簡単。「自由の国」アメリカだって、1979年のスリーマイル島原発事故以来、
原発の新規建設を30年以上凍結している(下記)。日本の場合、何もしなくったって
30年後、いや50年後でも新規建設などできないだろう。日本の原発は自然消滅する。
なので政党党首は原発の代わりとなる新エネルギーの提案に一生懸命になるべき
であって、「脱原発」とスローガンを連呼したって意味は無い(※注)。

●米国で34年ぶりに原発建設へ、スリーマイル事故後初
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K30820120209
 ※上記の報道後も、結局は凍結されたままだ(↓)
●米原子力規制委のマクファーレン委員長、核燃料処分に注力へ
 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M8ROOZ6K510901.html

これはアメリカの原発かな?(Microsoft クリップアートより

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「なにいってんの、自然エネルギーがあるよ! 原発とはすぐにオサラバだ!」
そういう市民や政党党首も多いようだが、次のニュースをみて、そして考えてほしい。
そのスローガンはホントウに正しいのか?

●4-10月稼働の再生可能エネルギーは原発1基分(サイエンスポータル)
 http://scienceportal.jp/news/daily/1211/1211191.html
※再生可能エネルギー≒自然エネルギー。詳しくは下記。
 ●新エネルギー、自然エネルギー、再生可能エネルギーの違いは?
  http://eco.nikkeibp.co.jp/style/eco/special/070112_ecoqa/index3.html

これをみて、どう感じただろうか?
「おお、これなら原発をやめてもなんとかなるのでは?」と思うかもしれない。
では順にみていこう。

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1)日本に原発は約50基ある
2010年の時点では原発は約50基ほど動いていて、日本の電力の30%ほどを支えていた。
上記記事では半年間で、原発1基に相当する自然エネルギーを新たに手に入れた
わけだから、この調子で行けば50÷2=あと25年で原発50基に相当する自然エネルギー
を手に入れられるわけか。ここはひとつ頑張って、いまの2倍のペースで自然エネルギー
の発電所を増やせば、あと13年ほどで国内の全ての原発はいらなくなる? おおっ!?
いや、まだ続きがある。

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2)発電設備容量であって、発電量ではない
上記のニュースを良く読むと、新たに増えた「発電設備容量」が原発1基分だ。
これはあくまで「発電できる最大のワット数」が原発1基に相当するだけであって、
「実際に発電した電力量」が原発1基に相当するわけではない。
ではどれくらいの電力量を発電できたのか? 予想してみよう。
上記記事によれば、新たに増えた自然エネルギーのうち、9割は太陽光だそうだ。
太陽電池は夜間には発電できず、晴天の日中でも100%の出力になるとは限らない。
213-2-14.gif
太陽光発電の天候別発電電力量推移より(エネルギー白書2010)
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010energyhtml/2-1-3.html

仮に晴・曇・雨の日の割合を1:1:1として、晴と曇の日中12時間の発電効率を
平均40%、雨だと0%、夜間は発電なしと考えると、40% x 2/3 ÷2 = 13%。
つまり、太陽電池の発電設備容量に対して、平均で1割程しか発電できないといえる。
これはあたらずとも遠からずで、例えば下記の太陽電池メーカーのサイトの情報から
計算すると、発電電力量は発電設備容量の約12%である。これは晴れの日が多い
1月の値+理想的な設置状況の場合であって、平均は10%を下回るのではないか?
●発電電力量の解説(京セラ)
 http://www.kyocera.co.jp/solar/pvh/simuinfo/explain03.html
 
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結論をまとめよう。今年の4~10月の半年で自然エネルギーが作り出した電力量は
原発1基の1割程度である。今後も、同じペースで自然エネルギー発電所を増やし続けた
としても、国内の全原発に匹敵する電力量を確保するには、あと200年以上かかる。

私自身、計算してみて驚いた。もちろん、これは大雑把な計算なので100年で可能かも
しれない。しかし仮に10年間で、原発から自然エネルギーに切り替えようと思うのなら、
いまの10~20倍の速度で自然エネルギー発電所を「作り続けねば」ならないのだ。

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以上、短い地味な(失礼!)科学ニュースだが、情報の読み方とは実に難しいものだ。
これぞ科学的な物の見方だ!と殊更に言うつもりはないが、選挙カーのスローガンに耳を
傾ける人、スローガンを叫ぶ人、大声だけでは解決できないということも知っていてほしい。

最後にこんなニュースも紹介して終わろう。
●太陽光・風力の導入可能量、中小水力・地熱より大(サイエンスポータル)
 http://scienceportal.jp/news/daily/1207/1207172.html
数字をみると、太陽光だけで8,000万kW=原発80基分の発電設備の設置が可能
だそうだが、上記の通り、実際の発電量はこの1割=原発8基分にすぎない。
しかも電力会社の太陽光発電の買取価格を44円/1kWhとした場合である。
現在の東京電力の電気料金表では、1kWhは18~29円/1kWhだ。
http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/menu/home/home02-j.html
買う値段より、売る値段が安い=どうなるかお分かりだろう。

なお、風力も頑張っているが、これはまた次の機会に触れることにしよう。

※注:アメリカはスリーマイル島原発事故後、原発を「新規」に作らなかっただけで、 1979年の事故以前から建設が始まっていた原発については、完成させている。 Wikipediaによれば、アメリカの104基の原発のうち、1996年に稼働したものが最新 だそうだ。なので、日本国内で現在稼働中の原発を即時停止し、建設中の計画も中止して、原発から の完全脱却をすすめよう!という政治的スローガンには意味はないことはない。しかしそれでも 代替となるエネルギーがなければ、誰かが負担を強いられることには違いはない。
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MANTA

※追記(2012/12/06)
同様の記事はあちこちに見られます。下記はおもしろかった。
●自然エネルギーへの幻想を助長する「原発何基分」という表現(アゴラ)
 http://agora-web.jp/archives/1442987.html
孫悟空の元気玉の喩えにちょっと笑ってしまった。

by MANTA (2012-12-07 07:01) 

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