So-net無料ブログ作成
検索選択

動物は地震を予知しない [ 電磁気で地震予知]

前回の酷い地震予知の続きです。
そういえば1年前にも似たような記事を書いていました。
●マスコミが流す「適当予知」情報
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-03-15
地震予知科学が未熟であることは事実ですし、地震予知に対する日本人の期待が
大きいことも事実。そういう夢が歪んだ科学を生む土壌になるのは皮肉ですね。
(ダイエットとか、EM菌とかも同様。人間の希望が生み出したニセ科学です)
それ以前にも似たような記事を沢山書いています。色眼鏡なしで、一度お読みください。
・「○○地方に地震が来る」噂の真相 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2007-09-12
・ラドン濃度で予知できる? → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-05-07
・四川大地震は予知できてた? → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-09-08
・311地震も予知できてた? → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-03-28-1
・体調や夢による、体感予知 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-09-02

----
さてそれでも「地震の前に動物が騒ぐ」とおっしゃる方々がおられます。
ホントウでしょうか?まずは大阪大学池谷教授の本を読んでみました。
(※随分前に読んだので、改訂版とは異なるかもしれません)

【緊急改訂】大地震の前兆 こんな現象が危ない (プレイブックス)

【緊急改訂】大地震の前兆 こんな現象が危ない (プレイブックス)

  • 作者: 池谷 元伺
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2005/08/25
  • メディア: 新書


例えば阪神淡路大震災の直前・直後(1/16~1/20)、マダイの漁獲量が急激に増えている
ことが報告されています。これは地震の前触れ? また動物に電波をあててみると、普段
行わない行動をするようです。地震の前に発生する電波が動物の異常行動の原因?
----
しかしよくよく読んでみると、いろいろおかしい。例えば、漁獲量のお話。1999年のトルコ
のイズミット地震の時も「地震の6~8日前に漁獲量が普段の3倍程度に増えた」そうで、
グラフ付きで紹介されていますが、実は漁獲量が一番多いのは地震の2週間後(約6倍)。
これについては本書中には何の説明もありません。

また動物実験も詳細が不明。本に書かれている内容をイラストで描くとこんな感じ。
キャプチャ.JPG
いろんな動物を岩石の周りに並べて、岩石を押すと、電波が出て、動物が騒ぐ。
岩石を潰すと電波が出るのはホントウです。でもね、電波だけでなく音も振動もでてる。
そりゃ、動物は騒ぎます。また他の実験では、濡れた布に電気を流して、そこに動物を
起き、反応が出るかどうかを見てたりします。そりゃ出ますよ、電気風呂と一緒です。
(しかも1mあたり数Vの電場をかけている=陸上の電磁気観測網で観測可能)

----
上記の本以外でも、例えばこんなのが最近(去年)、紹介されていました。
●イヌ、ネコは震度5以上で予兆行動…地震予知最前線 動物の感知能力を探る
 http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/120128/wlf12012818010019-n1.htm
 (引用)”イヌで試した結果、10匹中1匹が反応し、野生に近い状態で飼われているイヌ
      ほど電磁波に反応しやすいというデータを得た”
でもなぜ10匹に1匹?他の9匹は何やってるの? その1匹はどんな異常行動を?
また、何を「異常」な行動って定義するの?毎回必ず電磁波に反応するの?

興味が湧いたので、記事中の太田教授の研究業績を覗いてみましたが…
●麻布大学 介在動物学(セラピーアニマル)研究室
 http://ohta-lab.ercaz.jp/publication/
驚いたことに、研究業績のうち、地震予知に関するものが1つもありません。
電波に対する犬の反応を研究した論文もありません。関連する著書もみあたりません。
そんな馬鹿なと思い、ググってみると下記がヒットしました。

●動物の地震予知能力に関する研究(麻布大学雑誌)
 http://ci.nii.ac.jp/naid/110006391515
おお、楽しみ。で読んでみたところ…犬に対する電磁波の実験はほんの少し触れられて
ますが、詳細も引用もなく、ちゃんとした実験がなされたようには見えません。むしろ、
動物の異常行動データやその要因も、上記の本などからの引用が主です。そして、
主題である「地震予知に敏感となる遺伝子」も見つからなかった、という結果でした…

  
  「私達で地震予知なんて、無理よねぇ」    「・・・」

----
上記の2例以外にも、動物を用いた地震予知実験の例はあるようですが、
どれも似たり寄ったりで、ちゃんとした学術論文は皆無といっていいでしょう。

最後に私自身のお話を。阪神淡路大震災の前日、近所のノラネコが凄く鳴いてました。
1月ですから、まだ発情期には早いはず。おかしいなぁ、とおもったら地震が起きました。
なので、翌日からネコが鳴くかどうか、毎晩耳を澄ませていました。そして、ある日、
あの日のようにニャーニャーなくではないですか! 余震が来るか? 
…と思いましたが何も来ず…やっぱり動物は動物です…
それだったら電磁波を測るセンサーで予兆をキャッチしたほうがまだマシです。

(参考)
・研究者のウソを見抜く方法
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-09-11-1
 ”専門家と名乗る方の発言を信用できるかどうか知るためには、その方が関連分野の
 論文を書いているかどうかを調べるのが一番の早道です。”
・ジャンボ宝くじの「7等」 300円は、下1ケタがある数字だと当たりです。10本に1本、
 当たる確率です。これが100本に1本だと、誰も買いません。100匹中1匹ではない。
 10匹中10匹でもない。最低限のちょうどよい数字とも言えそうです。
nice!(4)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 4

コメント 4

「予知」に対する理解の違いでしょうか

いつも勉強させて頂いております。
私自身、ネットの口コミ統計情報でそのまま信頼度の高い予知情報が出せるというような期待はしていない者なのですが、古来からの言い伝えや経験則の中に何らかの真実が含まれていることもあるのではないかと考えています。「予知」を国の機関が避難指示に直ちに利用出来る信頼度のある情報を提供する能力とすれば、「ない」としても、ある条件下で地震の前に人間に出来ない何らかの知覚をする能力とするならば、「予知しない」「ニセ科学」と全否定すべきものというよりは、まだ分かっていないことがあるのではないか、と考えるのですが如何でしょうか。


by 「予知」に対する理解の違いでしょうか (2013-08-15 20:46) 

MANTA

コメント、ありがとうございます。
仰るとおりかと思います。そのうえで、大事なことは上記に書いたように、
「どれも似たり寄ったりで、ちゃんとした学術論文は皆無といっていい」
という点でしょう。
「予知」を矢面に掲げられている一部の先生たちは、研究成果を学術的な
高みに上げることよりも、マスコミに発表することにご熱心なようです。
なぜでしょうね?

昔から知られていながら、いつまでたっても学問にならない現象は、本当に
科学となりえるのか?というのが私からの問いかけでもあります (^^)
by MANTA (2013-08-16 17:23) 

慎重なアカデミズム

ひとつは先生がこれまで指摘するなかで示唆しておられるようなマスコミの商業主義と科学的態度を忘れた研究者の問題があると思っていたのですが、最近、もう一つ心配になる出来事がありました。
東京大学の研究者が2013年にされた、猫と飼い主の識別に関する論文に関する件です。
最初に報道を読んで唖然としたので、これはマスコミの引用が不正確なんだろうと思って、念のため論文にもあたっのですが、自然科学のある分野の研究者は、ひょっとして、人間の子供が人間の親を認識しているか否かについてもまだ分かっていないと考えているんじゃなかろうかと不安になりました。
by 慎重なアカデミズム (2013-12-21 02:41) 

MANTA

>人間の子供が人間の親を認識しているか否か
慎重なアカデミズムさん、大事なご指摘だと思います。
ご意見、ありがとうございます。

そもそも「認識」とはなんでしょうか? 例えばあなたが誰かを好きだとします。
その「好きだ」という気持ちを他人は「認識」できるのでしょうか?

宗教や哲学と科学が異なる点は、この「認識」の客観性に尽きるかもしれません。
客観的に「好き」を定義し、定量化し、その感情を他者に認識してもらえな
ければ、あなたの中の「好き」という気持ちは科学的には存在しない事に
なるでしょう。そんな馬鹿な!と思うかもしれませんが、実際の恋愛でも
異性に対してあの手この手で具体的な行動をして(例:プレゼント、優しい言葉)
意中の人に自分がこれだけ好きなんだと知ってもらう努力をやりますよね。

----
地震予知も同じです。「動物が予知する」「いや、私自身が予知できる」という
人は実にたくさんいます。地震予知を宗教とおもえば、それらはありえる
のかもしれませんが、他者が客観的に認めることができないのであれば、
それらはすべて科学的には無意味でしょう。

科学と認識というテーマは興味深いですね。時間ができたら、このブログで
取り上げてみます。ちなみに脳がどのように物事を認知するかは、例えば
下記などで研究最前線を知ることができます。まだこんな感じですよ。
●状況に応じて物事を柔軟に認識する脳の活動(産総研 TODAY)
 http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol13_06/vol13_06_p22.pdf

by MANTA (2013-12-23 08:58) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る