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剽窃レポートを防ぐ画期的な(?)方法 [ 科学コミュニケーション]

かつて、ある掲示板的Webサイトで、こんな書き込みを見ました。
どうやら大学の先生が書き込んだようです。
「ウェブをコピペして、レポート提出する学生が多くて困っています。コピペかどうか調査
 したいので、便利なツールを探しています。なにかオススメの方法はありませんか?」


report.jpg
 アンコウのあんこちゃん「レポートを書くには、これくらいの資料は読みなさい!」
 メンダコのナナちゃん「そりゃ、極端ね…」

本や資料やホームページを丸写し(コピペ)→あたかも自分のオリジナル文章のようにして
レポートや論文を描き上げることを「剽窃」といいます。これはやってはいけない行為です。
例えば、当大学の場合はレポートの剽窃が判明すれば、最悪、その年の全成績が無効
になるなど、厳しい措置が取られます。
例: 全学共通科目の授業及び試験・成績(京都大学 国際高等教育院)
 http://www.z.k.kyoto-u.ac.jp/zenkyo_lesson.html

「・・・って、どうせばれないっしょ?」って感じの学生も必ずいます。
冒頭の先生の「なんか便利なツール」という気持ちはよく分かる。
そして実際、剽窃をあばく無料のウェブサービスはあるのです。
●大学教授は大喜び、学生は戦々恐々のコピペ判定サイト「剽窃チェッカー」
 http://gigazine.net/news/20131118-hyousetsu-checker/
でもねぇ…言い換えれば、このサイトで見つかった剽窃は罰されるけど、見つからないと
罰されずセーフ、でいいのかな? あるいは内容を理解せずに、書籍から丸写ししただけ
のレポートはむしろ高得点ゲット??(書籍の中身はネット上にないことが多い)。

大学は社会へ巣立つ若者を育てないといけないのです。冒頭の大学の先生に言いたい。
小手先のツールで若者を手なづけても、それは本当の問題解決にはなりません。
もっと抜本的な「剽窃レポートを減らす方法」を考えてみましょう。

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まず思いついた方法。 レポートの課題の選び方を工夫すればいいのだ。
例えば、ネット上に落ちていそうな一般知識や社会問題を課題には選ばない。その代わり
専門的で細かな話をテーマにしちゃう。そうなるとネット上には答えがないから、図書館など
で調べ物をせざるをえない。そこで私自身、そんなレポートを授業で出してみました。
…しかし問題あり。いわゆる「重箱の隅」をつつく課題ばかりになってしまいます。
「学ぶ」ってそういうこと?  それに本から一生懸命丸写し=立派なレポート作成技術
といえるのか? ウェブのコピペと何が違うのか?
    :
うーん、あかん。やりなおし。そもそもなにが大事なのか?改めてまとめてみると…
1) どっかのページからコピペして、手っ取り早くレポートを完成させる能力ではなく
 ちゃんと資料を読んで理解して、情報を整理する能力を学生には身につけてほしい。
2) そのうえで、自分の意見を整理・追加して、他者に伝える能力を身につけてほしい。
…となると、別にネットが悪いわけではないですね。

というわけで、お待たせしました。これが私流の剽窃レポートの減少方法です。
・レポートを作成するときは必ず1つ以上の資料を引用させる。
・書籍・学術誌・報告書・新聞など、印刷物からの引用を推奨する。
・ホームページから引用する場合は、PDFファイルのみを認めることとする。
 ×  http://www.xxxx.ac.jp/xxxx/xxxx.html
 ○  http://www.yyyy.ac.jp/yyyy/yyyy.pdf
・引用した資料を明記させる。
 (例)本の場合:
  本の著者名(複数名いる場合は名前と名前の間を・で区切る), 書名, 総ページ数
  (XX pp.と書く。可能なら 引用した部分をp.XX-YY と書く), 出版社, 出版年.
 (例)ホームページ(HP)の場合:
  HPの作者(不明の場合は省略可), HPのタイトル, アドレス, アクセスした日.

まず「剽窃(盗用)」と「引用」の違いを理解していない学生が相当多いです。「レポート中の
どこが他人の意見の引用で、どこが自分の意見か」を明記すれば、剽窃にはなりません。
※詳しくはこちらを見てね → 「引用」と「盗用」の違い
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-06-02
また資料本体を読まず、適当なウェブサイトから噂話レベルの情報をコピペしてしまう
ことを防ぐために、出版物のみを引用可としたいところです。でも学術誌自体が電子公開
されている昨今、その線引は難しい。なので印刷物+PDFファイルまでは引用可として
います。こうすることで、専門性の高めの資料のみを引用する、という縛りを設けることに
なるので、学生はそれらの資料を読まずにコピペすることは(多少)難しくなります。

一例として、「牛によるメタン発生が地球温暖化に与える影響」をレポートの課題にして
みましょう。「地球温暖化 牛 影響」で検索すると、そのものスバリのPDFファイルは
見つかりません。一番最初にヒットするのは次の「Yahoo知恵袋」だったりしますが、
●牛のゲップってどれくらい地球温暖化に影響があるのでしょうか?
 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1283118517
ルールによりこれをコピペはできないので、ここの情報などに基づいて、
PDFファイル化されたドキュメントを探すか、図書館に行く必要があります。

----
私はこの程度の縛りで良いのではないかと思っています。これ以上、ルールを厳しくした
ところで、勉強をしない学生はしない、する学生はするものです。学びの強要や悪平等は
最終的には学生全体に対してはデメリットが多いでしょう。もちろんまだ工夫の余地あり。
例えば「英文資料の引用必須」なんてレポートもありかな?なんて思ったりもします。
いかがでしょうか? レポート課題に悩む大学教員の方々や、授業を受ける側の大学生、
かつてレポートに悩まされた大人たちからご意見などいただけると幸いです。
だって、大人になってからこそ、「剽窃」が大問題になることは多々あるのですからね。

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MANTA

追記:
剽窃について学ばないといけないのは、むしろ教える側だったりして…
●研究不正、管理責任を重視…文科省の有識者会議
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140128-00000226-yom-sci
 (以下引用)
 "論文のデータ捏造(ねつぞう)など研究者による不正が相次いでいる"


by MANTA (2014-01-28 12:22) 

MANTA

最近になってこんな話題が。
●大学のレポート提出で一工夫したらコピペが皆無になったという話
 http://www.jgnn.net/ls/2014/12/post-9921.html
(元ネタは2009年らしい)

私も随分前に同じことをやったけど、やめた(私の場合は8割方同じなら
提出の早い遅いに限らずに両者減点とした)。これって「答えが一つにならない問題」でないとダメなんよ(例えば、本記事で取り上げたレポート課題
「牛によるメタン発生が地球温暖化に与える影響」だと、もうダメね)
そういう自由レポートって、レポートの優劣を決めにくい(教員の主観で決めて
いいなら簡単)。受講生の理解度・達成度を測るのには使えないため、
やめました。

なので「これは画期的!」とか言っている人は、まだまだ甘い。
by MANTA (2014-12-22 12:55) 

MANTA

追記:自分用のメモ
●研究活動の不正行為等の定義
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/houkoku/attach/1334660.htm

(1)捏造
 存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
(2)改ざん
 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって
 得られた結果等を真正でないものに加工すること。
(3)盗用
 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は
 用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること。
 ※剽窃、盗作も概ね同義
by MANTA (2017-01-28 08:34) 

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