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アトランティス大陸は現実?幻?(1) [ 科学ニュース Old..]

2009年頃ですが、Google Mapに海底地形図が追加された際に、
「大西洋に変な海底地形がある!? アトランティス大陸ではないか?」
と話題になったことがありました。



アトランティス大陸発見?はしばしばニュースになりますね。ほら、去年も!
●アトランティス発見!のニュースに一番驚いたのは当事者でした
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130822/252513/?rt=nocnt

海底の謎に興味のお持ちの方は多く、先日も当方のブログにご質問を頂きました。
ご質問内容をまとめさせていただくと以下のようです(原文はこちらを御覧ください)。
ご質問その1
 2012年以降にGoogle Mapはリニューアルされて、より正確で精度の高い地形図に
 なっているはずなのに、まだ上記の「ホゾ穴状」にえぐれた地形や、「土手状」の隆起線
 のような地形が見て取れるのはなぜでしょうか? 本物の地形ではないのでしょうか?

ご質問その2
 大西洋の他の部分にも、線状の地形や、升目状に奇妙に整った海底地形が
 見られますが、自然物とは到底考えにくいので、人工的ななにかではないでしょうか?
 以上、ご質問者は「うつぎれい」さん。下記のホームページに詳細情報あり。
 http://www.geocities.jp/netreal_bookbox/utzugi/OpenLetters_001.htm
 
2009年当時にもこのブログで解説しましたが、あれから5年(え、そんなに!?)
新情報を追加しつつ、あらためてご質問にお答えいたしましょう!
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まずその1から。
Google Mapの海底地形の精度は公開当初(2009年)と比べると上がってますね。
すごいなぁ。ではその元データはどこの誰が作ったの? ハッキリはしませんが、
Google Mapはどうやら「GEBCO」を使っているようですね。
●The General Bathymetric Chart of the Oceans (GEBCO)
 http://www.gebco.net/
GEBCOは長い歴史を持ち、多くの研究者から信頼されているデータベース。
約900m間隔の海底地形データが公開されています。例えば最新地図はこちら。
http://www.gebco.net/data_and_products/gebco_world_map/
ファイルサイズ60MBのPDFファイルをダウンロードして拡大すると、、、ありました。
例の「アトランティス」っぽい地形は、GEBCOのマップにもちゃんと載ってます。
ということはやはり本当の地形なのでしょうか?

GEBCO自身がそれについてコメントを出しています。
●Atlantis found?(News and events, February 2009, GEBCO)
 http://www.gebco.net/about_us/news_and_events/atlantis_found.html
 ※こちらの地図も見て下さいね~
要約すれば、海底地形データは船による測定値と、衛星による推定値の双方に
基づいていて、いくつかの地域(例えば上記で話題のMaderia Basin)では、
2つのデータが上手くブレンドできていないとのこと。

「船による測定値」とは、超音波を使って船の直下付近を調査した数値です。
下図はGEBCOで公開されている「海底地形を測定した船の航跡」です。
geodas_tracks.jpg
 Frequently asked questions (GEBCO)より
 http://www.gebco.net/general_interest/faq/
 (How do you measure depths in the ocean?)

大海原では白いところ=船が通ってない地域が目立ちますね。
21世紀の現在でも海底地形を未測定の地域があちこちに残っているのですよ!!
また、大西洋の北半分は真っ黒けに見えますが、実は船が通っていないところが
随所にあります。

一方、人工衛星を使えば、海面の高さを精密に測ることができます。
altimetry_measurement.jpg
 Frequently asked questions (GEBCO)より
 http://www.gebco.net/general_interest/faq/
 (How is bathymetry 'measured' from space)
海山は周りの海水よりも重いため、海山の周りの重力はほんの少し強くなります。
すると海水が海山の周りに多めに集まってきます。その結果、海面が少し盛り上がります。
逆に海底が凹んだ場所では、海面も少し凹みます。つまり海面の凸凹を測定すれば
海底の凸凹が推測できるというわけです。ただしこうして求められた海底の深さは
あくまで推定値ですから、船による測定値としばしば食い違います。

さて、話題の「アトランティス」の地形が船の跡だとすると、一体何の調査をやっていた
のでしょうか? この海域は「Maderia Basin」とか「Madeira Abyssal Plain」と呼ばれて
いるそうですが、海山や海溝など、目立つ地形はありません。私自身もそれは気になって
いて、石油でも探しているのかな?なんて思っていましたが、今回調べてみて分かりました。

●The geology of the Madeira Abyssal Plain: further studies relevant to its suitability
 for radioactive waste disposal (University of Southampton)
http://eprints.soton.ac.uk/15118/1/15118-01.pdf

 上記資料のFigure 3aより。

核廃棄物の海底処分の候補地として、イギリスが1980年代にMadeira Abyssal Plain
の海底調査をしていたのです。上図がその時の航跡です。この図の上にマウスの
ポインターを持って行ってみてください(マウスオーバー)。Google Mapの当該地域の
海底地形図が表示されます。どうでしょう?「アトランティス」の地形とよく一致していませんか?
船が通った場所にたまたま窪地や隆起があるとは考えにくいので、おそらく前述のとおり、
船のデータと人工衛星のデータの合成がうまく行っていないのでしょう。これは予想ですが
船の測定値は1980年代と古いために測定誤差が大きく、最新の衛星データによる推定値
と合わせづらいため、いっそうズレが目立つのではないでしょうか?

余談ですが、このMadeira Abyssal Plainでは海底掘削が行われているようです。
●SEDIMENTATION ON THE MADEIRA ABYSSAL PLAIN: EOCENE-PLEISTOCENE
  HISTORY OF TURBIDITE INFILL (Proceedings of the Ocean Drilling Program,
 Scientific Results, Vol. 157, 1998)
 http://www-odp.tamu.edu/publications/157_SR/VOLUME/CHAP_30.PDF
サイト951が一番近いようですね。なにか人工物を発見した様子はなさそうです。

…ということで、ご質問その1へのお答えは「最新のGoogle Mapにも船の航跡が
たくさん残っていて、それが”人工的な地形”のような模様にみえている」です。
次にご質問その2ですが、、、長くなりましたので次回へ続きます。



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MANTA

本記事に関しまして、ご質問者のうつぎれいさんからはお返事は頂いて
おりませんが、うつぎれいさんのHPで当ブログをご紹介頂いておりました。
http://www.geocities.jp/netreal_bookbox/utzugi/OpenLetters_001.htm#0022
うつぎれいさん、どうぞお気を悪くされませんように。
またご紹介ありがとうございます。

by MANTA (2014-03-10 17:59) 

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