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CO2はどこから来たか?CO2に聞けば良い [ 地球温暖化を学ぼう]

前回の本連載「地球温暖化を学ぼう」では、大気中のCO2の増加は人為的なCO2排出と
密接な関係があると書いた。 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-03-06
しかし、まだまだ疑り深い人がいるようで、上記記事にもトラックバックなどで
CO2濃度は自然変動の影響を大きく受ける」とご意見を送ってこられる方もいたりする。

はてさて、自然変動の影響はどれくらい「大きい」のだろうか?
ここはひとつ、空気そのものに出身地を訪ねてみよう。
そんなことができるのか? できるのだ。
二酸化炭素(CO2)と酸素(O2)が教えてくれるのだ。
(今日の記事は国立環境研究所の研究成果の紹介・解説です。本記事の末尾参照)

まず1999-2005年の6年間に、大気中のCO2濃度は約12ppm上昇しており、O2濃度
(ここでは酸素と窒素の比)は約25ppm減少したことが大気の観測から分かっている。
(ちなみに1 ppm =100万分の1の体積分率)
graph0.jpg
  図1:大気中のCO2(赤)及びO2(青)の観測結果
  毎年の変動ではなく、長期間に渡る変化に注目。

この間、人間が使っている化石燃料の量は概ね分かっているので、化石燃料などから
排出されるCO2の量も概ね分かっている。1999-2005年頃は年間約70億トンであり
炭素量:前回の記事にもグラフとして紹介した)、大気中のCO2濃度になおせば約20ppm
の上昇に相当する。O2についても変動量を求めてみよう。石油や天然ガスを燃やす際には
酸素が使われる。化石燃料の種類別の統計を用いて計算すると、CO2が「1 増える」とき
O2は「約1.4減る」ようである。そこで、CO2やO2の時間に伴う変化をグラフにすると…
graph1.jpg
  図2:CO2濃度やO2濃度の時間変化(黒:観測値、赤:化石燃料の使用に伴う推測値)

人為的に排出されたCO2より、大気中に溜まっていくCO2の方が少ないことにすぐに気づく。
またO2濃度については、予想より高い値だ。つまり、上図の「?」矢印部分は
誰かがCO2を吸収してくれていて、誰かがO2を吐き出してくれていることを意味している。

それは誰か? 陸と海だ。
まず陸は光合成によりCO2を吸ってO2を吐き出している。この時、化学式等から考えると
CO2が「1減少」すれば、「O2は約1.1増加」する。また海について、CO2は水によく溶けるが
O2はあまり溶けない。すなわち「CO2が減っても増えても」O2は変化しない(※)。
これを図に示すと次のようになる。
graph-1.jpg
  図3:CO2・O2の循環模式図。F=化石燃料、B=陸上、O=海
  BやOが正の値なら大気からの吸収、負の値なら大気への放出である。

これまでに述べたCO2とO2の関係は図中の式のように書きなおせる。ここでΔCO2と
ΔO2は観測された濃度変化であり、Fは上述の通り求められる。BとOの2つが未知数だ。
従って図中の連立方程式を解くと、BやOの値を求めることができる。その結果、
B=すなわち陸上植物は、F(人為的CO2)の14%を吸収しており、
O=海は同30%を吸収している様子が明らかとなった。グラフにすると次のようだ。
graph2.jpg
    図4:CO2濃度やO2濃度の時間変化
  ※実際には海から大気へO2が少し放出されている。本研究ではその分も加味
   されていて(図中の水色矢印)、前述の「14%」「30%」などは考慮後の値である。

この値に基づいて、炭素の排出・吸収を図にするとこんな感じ。
graph-1-03fb3-9defd.jpg
CO2が海から放出されているどころか、逆に海はCO2を吸収してくれている。
その別な証拠として「海洋酸性化」があげられるだろう。
●海洋酸性化とは(気象庁)
 http://www.data.kishou.go.jp/db/mar_env/knowledge/oa/acidification.html

…ということで、CO2の長期的な増加傾向へ自然が寄与している分などなく、
むしろ人間が排出したCO2を自然が吸収している様子をお分かり頂けたかと思う。
しかしまだ疑ってる人もいるかもしれないので(まさかね)、CO2へ自分自身の
出身地を聞く 別の方法を紹介しよう。

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以上の図などはすべて下記からの引用または改変です。詳細は下記をお読み下さい。
●大気中酸素濃度の減少量から二酸化炭素の陸域生物圏吸収量の推定に成功
 -放出された化石燃料起源の二酸化炭素の30%が海洋に、14%が陸域生物圏に吸収-
 (国立環境研究所)
 http://www.nies.go.jp/whatsnew/2008/20080123/20080123.html
●Tohjima et al., Atmospheric O2/N2 measurements at two Japanese sites:
 estimation of global oceanic and land biotic carbon sinks and analysis of
 the variations in atmospheric potential oxygen (APO), Tellus B, 60, 213-225, 2008.
 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1600-0889.2007.00334.x/abstract
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MANTA

conAGWさんからコメントを頂きました。
同氏のブログにおける、上記への反論ページの紹介でしたが
・反論に資するソースが一つも示されていないこと
・当ブログでの本論を理解することなく反論しようとしており、
 科学的議論のキャッチボールがまったくできていないこと
・私を含む多数の研究者・ブロガーさんたちへの人格的な批判など
 他人を貶める発言を繰り返していること
の3点を鑑みて、やむを得ず削除いたしました。

また同氏のコメントをこれまでみておりましたが、上記3点は多くのコメントに
共通しており、同氏の主義・主張も明確には示されておりません。

以上を勘案し、当ブログでは当面の間、同氏のコメント・トラックバックを
受け付けない設定といたします。このようなコメントを寄せてくる人物は
8年を越える当ブログには見当たらず、苦渋の決断となった次第です。

科学的な議論でヒートアップするなら健全ですが、
論拠もない悪口のオンパレードは見るに絶えません。
科学とはそういことではないと考えます。
by MANTA (2014-03-19 12:26) 

mushi

私も、conagwさんのコメントは基本的に非公開にすることにしました。
リチャード・ドーキンスが、創造論者との討論を拒絶する理由の、万分の一くらいは実感できた気がします。
by mushi (2014-04-05 17:38) 

MANTA

>リチャード・ドーキンスが、創造論者との討論を拒絶する理由の
>万分の一くらいは実感できた気がします。


世の中には「科学的」とは何かを理解しない(できない)人で、
実は満ちているのだと思います。彼はその一端にすぎないのでしょう。
科学を正確かつ分かりやすく伝える重要性をヒシヒシと感じます。

一方、荒らしは荒らしとして、毅然とした態度で対応するのみです。
mushiさん、お疲れ様です。
お互い、サイトの管理者として当然のことをしただけです。

by MANTA (2014-04-08 12:06) 

MANTA

追伸:
mushiさんのブログを少し拝見しました。
http://ameblo.jp/mushimushi9/entry-11794535205.html
(以下は、conAGW氏のコメント)
>【実際の地球】
>・人為CO2が大気に排出され続けていても、その量にも応じて大気中
>CO2濃度も一方向に上がっていくということはなく、濃度は常に上がりも
>下がりもしている。
conAGW氏の上記コメントはもちろん間違いです。
● World Data Centre for Greenhouse Gases (WDCGG)
 http://ds.data.jma.go.jp/gmd/wdcgg/pub/global/globalmean.html

同氏のものの言い方もおかしい。例えば下記。
>それから、こちらから確認している点への回答はどうなっている?
ずいぶん高圧的ですね。こういう行為が「荒らし」とされる要因です。
mushiさん、お疲れ様です。

同氏はご自身のブログで、私を含む多数のブロガーや研究者に悪態をつく
行為を繰り返しているようです。私はとうの昔に同氏のブログを読んで
いませんが、いまも悪口を書かれているのでしょうね。でも私は(おそらく他の
研究者も)なーーんとも思いません。conAGWさん、どうぞ好きに悪態を
ついてください。そして持論を展開して下さい。それが言論の自由です。

同氏の書かれていることと、私達が書いていること、どちらが科学的に
正しいかは私達以外の人達が読み、そして理解することでしょう。
by MANTA (2014-04-09 08:12) 

MANTA

どうも理解できない人がいるようなので追記。
上記のOは「負の値」も取りうる。すなわち「海から大気への放出」も答えとして
もちろんあり得る。そして計算の結果、Oはゼロより大きかった。だから
「大気から海への吸収」が約21億トン/年なのだ。

これは中学生レベルの数学。
理解できないのようならば、温暖化懐疑派などやめたまえ。

by MANTA (2014-05-19 19:40) 

MANTA

本記事を批判するトラックバックをichijinさんから頂きました。
ichijin.seesaa.net/article/391458300.html

以下のようにお返事いたします(『』は上記ページより引用)。
・CO2について『「正味」の意味での吸収・排出である箇所がいくらもあるにも
 拘らず、その断りが一切ない』とのご指摘ですが、上記の図3にあるように
 海からの放出も吸収も両方共扱っています。
 (Oが正の値なら大気からの吸収、負の値なら大気への放出)
・『これらをしっかり頭に入れて彼の解説を読んでみれば、
 「本当にそうか?」となるようなところがぽろぽろ出てくるだろう』
 との指摘ですが、科学者の言うことを疑うことは大事です。
 一方で、中学校レベルの数学を理解する努力をしましょう。
・ところでichijin氏自身は、どこが「中学校レベル」かが分からないようです。
 上記の記事で懇切丁寧に説明したにも関わらず、以下のように思い込んで
 いる点です。
 ”自然だけによる元々の大気CO2濃度も変動してきているのであり、しかも
 その変動は、人為CO2排出量に比して100倍近い規模のCO2のやり取り
 がある中で起きている”
 世の中には、自身の主張をするだけして、他人の主張を読まない・読めない
 方がおられます。当ブログにもしばしばそんな方からのコメントが届きますが
 今回は(本当に)小学生か幼稚園児と議論しているようです。 
 是非上記記事や紹介したページを熟読いただきたいところです。
・『海・陸ともに吸収だけでなく「排出も」するのであり、その量・変動も人為
 に比べ桁違いに大きい』との指摘ですが、誤って理解されているようです。
 詳細は下記のコメント欄を御覧ください。
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-24
・『したがって、人為CO2「が吸収される」といった、あたかも吸収されるのが
 人為CO2「そのもの」であるかのような言い方をするのは間違い』という
 ご指摘ですが、これは仰るとおりでしょう。
 人為的に排出されたCO2の14%に「相当する量」を陸地が吸収しており
 同30%に「相当する量」を海が吸収しているというほうが適切です。しかし
 人為的に排出されたCO2の56%に「相当する量」が大気中に溜まることを、
 人為的に排出されたCO2によらずに説明することは不可能でしょう。
・細かなことですが『人為CO2』は日本語としても専門用語としてもおかしい
 ですね。せめて「人為起源CO2」とすべきでしょう。
by MANTA (2014-07-01 19:21) 

綾波シンジ

お久しぶりです。

炭素循環に関する温暖化否定論は、用語の意味を独自に解釈(誤解)して、それをもとに元が「間違い」だとするパターンですから、相手のしようがありません。

彼らは、言葉をこねくりまわすことが「科学的な論議」だと思っているフシがあります。根拠を示して、またその根拠の意味を理解して論議するという最低限の基本が成り立っていないのですから、相手のしようがありません。

やり取りを見た第三者が判断できるご対応、お疲れ様です。
by 綾波シンジ (2014-07-05 09:56) 

MANTA

綾波シンジさん、ご無沙汰しております。
>彼らは、言葉をこねくりまわすことが「科学的な論議」だと思っている
>フシがあります。
そのようですね。なにせ”AはBである”という資料を使って”AはBではない”
という議論を展開されていますからね。それは間違った資料ですよと指摘
いたしましたら、「文献や論文を示せとの要求は、科学者の逃げ口上だ」
とのお返事でした。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-24
まっとうな科学者ならこんなセリフ、恥ずかしくて口にできません。
「私は無知です」と言っているのと同じですから。

妄想科学やニセ科学に魅了された人は異常な熱意をもってそれを広めよう
とします。これは日本だけに限った話ではありません。その熱意を正しい
科学へ向けることができれば、、、とも思いますが、これは私にとっての
宿題です。とりあえず、このブログで私ができる事は、ニセ科学の信奉者
とはどんな人達かを肌で知ることと、私が正しいと思う科学を示し続ける
ことくらいです。

ちなみにこの「勝負」は私の負けです。
「ニセ科学vs科学」はいつもニセ科学側の勝利に終わりますから。
よろしければ下記をご参照ください。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-30
by MANTA (2014-07-05 18:44) 

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