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海底が10mも上昇?!その謎に迫る(2) [ 電磁気で地震予知]

前回の続きです。
1日で10mも海底が盛り上がった理由はなんでしょうか?
あの雑誌「ムー」もツィッターで取り上げています。すわ、世界の終わり?

まずは知床半島がどのような所か、確認してみましょう。
知床.JPG
※日本シームレス地質図より(https://gbank.gsj.jp/seamless/
 例のGoogleマークのところが、今回の海底隆起の場所。

知床には活火山がたくさんあります(図中の△)。
また知床半島の付け根あたりには活断層も走っていて(図中の赤い太線)、
その延長が知床半島の海岸線沿いに伸びている可能性も。
では地震活動や火山噴火で、どれくらい地面は上下するでしょうか?

1) 地震の場合
例えば東北地方太平洋沖地震の時には、三陸地方の海岸は1m程(例:牡鹿では
1.2m)の沈降が認められました。さらに三陸沖の海底は約3m上昇しました。
●東北地方太平洋沖地震の陸域及び海域の地殻変動と滑り分布モデル(国土地理院)
 http://www.gsi.go.jp/cais/topic110520-index.html
●東北地方太平洋沖地震に伴う海底の動き(海上保安庁海洋情報部)
 http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/chikaku/kaitei/sgs/result.htm
巨大地震にともなって、震源に近い地域では10mに及ぶ地面の上昇があっても
おかしくはないです。現に1999年に台湾で発生した地震の際には、断層沿いに
10mの崖が生まれたそうです。崖が河を横切る場所では7mの滝が誕生しました。
●太田陽子,1999年921集集地震による地震断層は何を語るか(地学雑誌)
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/109/5/109_5_799/_pdf
しかし今回は大きな地震は発生していません。いや、ひょっとすると「地震の揺れを伴わない
特殊な地震(ゆっくり地震)」が発生したかも? それでも海底隆起域の長さは
わずか800mです。これが断層のズレによるものだとすると、随分と短い断層です。
巨大地震に関係する地殻変動とは思えません。

2) 火山の場合
それでは火山活動に伴う地殻変動は、どれくらいの激しさでしょうか?
例えばアフリカのエチオピアでは数日の間に幅6mにも及ぶ巨大な亀裂が誕生したらしい
です(以下に写真あり)。これはアフリカの火山活動に伴うものと考えられています。
●アフリカが二つに割れる(株式会社ボイス)
 http://www.voice.ne.jp/neta/contries/africa/2010/2353/
●アフリカの砂漠に新しい海が誕生しつつある
 http://gigazine.net/news/20091104_new_ocean_in_africa/
日本でも、どんどん大きくなる火山島「西ノ島」が注目を集めていますね。
000101901.jpg
(”「地理院地図」に西之島付近の噴火活動関連情報を掲載しています” より)
 http://www.gsi.go.jp/gyoumu/gyoumu41000.html
この西ノ島、昨年12月~3月の間に30mほど、山が高くなったらしい。
●西之島、標高137メートルに=陸地の拡大続く―国土地理院(時事通信 2015/3/17)
 http://news.yahoo.co.jp/pickup/6153318
なるほど、火山活動はありえます。しかし、地面が10mも盛り上がるような火山活動
(新しい火山の誕生)だと、それこそ西ノ島と同じようにいろいろな変化が観察される
はずですが、地震活動すら検知されていません。

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地震・火山以外で地面が大きく変形する現象として、地面の陥没や地すべりが
知られています。地面には(あたりまえですが)常に重力がかかっています。
ですので、巨大な地すべりによって、斜面の高さが100m以上も低くなることは
しばしばです(下図は台湾の例:赤が地すべり後の地形)。
地すべり.JPG
●堤ほか,台湾高雄県小林村の深層崩壊に関する数値解析,京都大学防災研究所
 特定研究集会「深層崩壊の実態,予測,対応」,2012年2月18日より。
 http://www.slope.dpri.kyoto-u.ac.jp/symposium/DPRI_20120218proceedings.pdf
 
ただ今回は海底が「隆起した」んですよね。地盤沈下ではなくて。
うーーーーん、、、なぞ! わからへん!
  :
  :
と思ってたら。なぞはあっさり解けてしまいました。
●北海道・知床羅臼の海岸隆起、大規模地滑りも 町が対策本部設置
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150425-00010004-doshin-hok
FNN.JPG
 ※写真はFNNより。
  http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20150425-00000122-fnn-soci

なんや、やっぱり地すべりやん。うん、たしかに教科書には
地すべりの模式図が載っていたなぁ。上の写真とそっくりや。
vernes.gif
 岩松暉『地すべり学入門』より。
 http://eniac.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/landslide/l004.html
丸6の部分は「舌部」と言って、地すべりに伴って、斜面の裾の部分が上へと
持ち上げられています。今回の海底「隆起」は、この「舌部」に相当しそうです。
うむむ、なるほど。言われてみたらたしかに、ですね。
私自身も「地すべりかなぁ? でも海底が露出した場所には陸からの土砂は
降ってきてないから、地すべりじゃないよねぇ」となんとなく思ってました。
今回は陸側の崖だけでなく、海底も一緒に地すべりを起こしたのでしょう。
だから「海底が隆起した部分」に土砂が積もらなかったわけだ。なるへそ。
思い込みは自由な思考を妨げるという例ですね。反省。

…っていうか、地すべりだったらすげー音がしてると思うけど!
ほんで、海岸沿いの崖が崩れているのにもすぐ気づくと思うけど!
人があまり住んでいない + 崖とかに木が茂っていてよく見えないので
「あ、がけ崩れだ!」と思わずに「お、海底が盛り上がった!」と思ったのかな?
さすが、北海道はデッカイドウだ。
でも今回は地すべりによる被害が少なくてよかったね。
誰かがコンブとか拾いに行ってる最中に起きていたら!! ゾーッ!

ちなみに今回の地すべりがいつ起きたかも、じきに明らかになると思われます。
地震計の記録を用いるのです。実は、普通の地震と地すべりでは地面の揺れの
パターンが違います。地震データを解析して地すべり特有の揺れを抽出できれば
発生場所や発生時刻とかがわかるらしい。詳しくは下記。
●2011年9月奈良県の地すべりの発生時刻推定
 http://www.eqh.dpri.kyoto-u.ac.jp/~masumi/eq/totsugawa/index.htm

※この記事を書いている最中に、ネパールで大きな地震が起きました。最近、災害のニュースが多いね。
 ネパールで地震、876人死亡=M7.8、インドや中国も被害―エベレストで雪崩
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150425-00000094-jij-asia

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アヨアン・イゴカー

地すべりによる隆起。日本にはこうした地すべりが起こりうる箇所が沢山あるのではないでしょうか。
by アヨアン・イゴカー (2015-04-26 16:37) 

MANTA

アヨアン・イゴカーさん、人家に被害が及びそうな場所だけで16万地点くらい
あるみたいですよ。 > 地すべりが起こりうる箇所
●都道府県別土砂災害危険箇所(国交省)
 http://www.mlit.go.jp/river/sabo/link20.htm

ちなみに今回の地域(北海道羅臼町)にも地すべり危険箇所はたくさんあり
ますが、ジャストポイントは危険箇所とはなっていなかったみたい。民家が
なかったからかな?
●釧路土木現業所管内 土砂災害危険箇所図(中標津出張所管内)
 http://www.pref.hokkaido.jp/kensetu/kn-ksrdg/map/area/nak3-3top.html

なお今回の改定隆起についての詳しい調査報告がありました。
●羅臼町地すべり調査報告(暫定版)
 http://www.sci.hokudai.ac.jp/~hiroaki/rausu/rausu.htm
by MANTA (2015-04-27 12:15) 

MANTA

某サイトで、本ページヘの質問を2つほど見つけてしまいました。

1) 「地すべりの際に、斜面の裾の部分が上へと持ち上げられる」ってとこが
よくわかりません。どうしてそうなるの?
上記の最後の図(地すべり)のイラストをみてください。丸4より上側の地層が、丸4を「滑り台のように」利用しながら、ズルリっと斜面下方に滑っています。この丸4は「すべり面」と呼ばれています。今回の地すべりでは、このすべり面が陸の斜面上方から海底まで続いていたのでしょう。このために陸側斜面だけでなく、海岸線近くの海底も地すべりを起こし、結果として海底が「舌部」となり持ち上がったものと思われます。
地すべりって動きを伴いますから、分かりにくいですよね。
(なので私もはじめは地すべりとは思わなかった)

2) 今回の地すべりのきっかけは?
先ほど紹介したサイトによりますと…
http://www.sci.hokudai.ac.jp/~hiroaki/rausu/rausu.htm
・この付近の海底からは湧水(冷泉)が認められる
・滑落崖付近は雪の堆積場となっている
だそうです。なので、1) 陸側に捨てられた雪が溶けて、2) 大量の水が地下水となる、3) 地下水は地層の境目(これが今回のすべり面)に沿って海底で湧き水になるが、4) 地下水の量が多すぎて地すべりが起きた、というストーリーが考えられます。

なぜ地下水量が多いと地すべりになるかは下記を御覧ください(宣伝)。
●「地底の科学」特設サイト → 地すべりのメカニズム&未然に防ぐ対策法
 http://obem.jpn.org/chitei/1_10m.html
※本も買ってね。テヘ!(^^)
by MANTA (2015-04-27 12:31) 

アヨアン・イゴカー

ご回答ありがとうございます。
危ない箇所は16万箇所もあるのですね。やはり、日本は、まだまだ新しい陸地なのですね。
今回の件は、今朝ニュースで報じられた時、私は先生のこの記事を拝見していましたので、さっさと「あれは地すべりらしいよ。京大の先生の説明が、ブログにあったよ。」と偉そうに言ってしまいました。

ところで、ネパールの地震が気になります。大陸同士の衝突が進行中のようですが、四川省、雲南省の地震との関連はどうなのでしょう。今後、頻発するようになるのではないでしょうか。

by アヨアン・イゴカー (2015-04-27 23:18) 

MANTA

アヨアン・イゴカーさん、ネパールの方はこちらに書かせて頂きました。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2015-04-28

なお、異なる断層で起きる地震の間の因果関係は複雑です。ある断層が動けば
別の断層は動きにくくなる場合があれば、動きやすくなる場合もあります。
近年は、簡単なモデル(クーロン破壊関数 )でこの「動きやすさ」「動きにくさ」
を計算して、将来予測を試みたケースも見られます。
ただ四川省、雲南省などの地震は今回の震源域から遠く離れるため、直接
的な影響は少ないと思われます(計算はしていません、単なる予想です)。
※一方、遠く離れた2地点間で、地震の発生に関連性が疑われるケースも
 報告されている。これはクーロン破壊関数ではなく、別のモデルで説明が
 なされているが、詳細なメカニズムは解明されていない。
by MANTA (2015-04-28 19:11) 

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