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震源から遠いカトマンズはなぜ揺れたのか? [ 電磁気で地震予知]

報道で御存知の通り、ネパールでマグニチュード(M) 7.8の地震が発生しました。
●ネパール大地震、現場の写真20点(ナショナルジオグラフィック)
 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/042700073/
 nepal.JPG

震源はネパールの首都カトマンズから北西へ約80kmの地点。
map_nepal.JPG
http://fox21news.com/2015/04/26/major-aftershock-hits-nepal-overall-death-toll-rises-to-2263/
※epicenter=震源震央、Aftershocks=余震
 星丸=カトマンズ、二重丸=エベレスト

米国地質調査所の「Shake Map」で揺れの大きさを見てみましょう。intensity.jpg
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/shakemap/global/shake/20002926/
色は揺れの大きさ(メルカリ震度、予測値)を表しています。
日本の震度に直せば「震度6弱~6強」くらいでしょうか?
→アメリカと日本の震度の違い http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-06-09-1

耐震性の弱い建物が多かったのでしょうか?上の写真では多くの建物が
倒れています。震源の深さ15kmと浅かったことも影響しているでしょう。
とはいえ、震源はカトマンズから80kmほど離れています。
東京から熱海、名古屋から浜松、大阪から姫路くらいの距離があるのです。
カトマンズはなぜそれほどまでに揺れたのか?

理由の一つは断層の動きにあるようです。
faults.jpg
地震は「ダイナマイトの爆発」とは違います。ある一点だけで地震のエネルギー
が解放されて地面が揺れるのではなく、上の図のように断層がずれ動くことで
地面が揺れます。ズレはじめの点は「震源」と呼ばれ、ニュースでも度々報じられ
ますが、そのせいでしょうか、ついつい「震源でだけ」地震が起きていると思いがち。
でもM8クラスの地震となると、断層がずれ動く地域も長大になります。

今回の地震で断層がどのようにずれたかは、東京大学のグループが計算しており
ホームページに結果を載せています。
●東京大学地震研究所応用地震学研究室
 http://taro.eri.u-tokyo.ac.jp/saigai/2015nepal/index.html
 map_aftershocks_mod.jpg
 ※図は上記サイトより抜粋。
図の見方です。まずが震源、が余震、がカトマンズです。
その背景の白~灰色~黒の地図が、地下の断層のズレの大きさを示しています。
白は断層のズレがほとんどない地域、黒はズレの大きな地域で最大で4.3m。
この結果から、100km以上の長さに渡って断層がずれ動いたこと、そして震源付近
よりもカトマンズの真下付近で断層が大きくずれたことが分かります。この断層は
逆断層だと思われますから、カトマンズの街は地震時に真下から突き上げられる
ように揺さぶられたのでしょう。これでは古い建物はひとたまりもありません。

震源と断層の関係は地震学を知る人間であれば常識なのですが、マスコミの報道
ではあまり取り上げられません。なので「なぜカトマンズであれほどの被害が?」
と不思議に思っている方も多いことでしょう。最近はこのような断層のズレの計算
を地震発生後迅速に行うことができるので、「震源」という情報だけではなく、
「断層の動いた地域」なども報道して頂きたいところです。

今回の地震の被害者数はすでに4000名に達しようとしています。最終的には
この2倍程度になるかもしれません。犠牲者の方々のご冥福をお祈りするとともに
ネパールの復興にわずかばかりでも援助したいと思います。

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おまけ:
●Nepal quake 'followed historic pattern'
 http://www.bbc.com/news/science-environment-32472310?ocid=JP_NewsTW
BBCによれば、今回の地震は「歴史に従っている」とのこと。カトマンズでは
1255年に東側で大地震が起き、1344年には北西側で大地震が起きていました。
その後、1934年にカトマンズの東側で大地震が起きていたため、いずれ近いうちに
カトマンズ北西でも地震が起きることは予測はされていたそうです。

また今回の地震ではエベレストでも地震の被害がありました。
●エベレストで雪崩に遭遇したまさにその瞬間の動画がYouTubeで公開中
 http://gigazine.net/news/20150427-hit-by-avalanche-everest/
 NHKのニュースでも流れている映像です。雪崩の時は、雪に埋もれても息が
 できるよう、空間を確保することが大事です。そのためでしょう、映像の
 登山家はいち早くテントに逃げ込んでいます。
●まるで戦場だった(ヒマラヤ大地震からの報告)
 http://www.noguchi-ken.com/M/2015/04/post-642.html
 登山家野口健さんのブログです。現地の様子がレポートされています。
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Working Dad Oversea

Epicenter: 震央
Hypocenter: 震源

from Wisdom 英和辞典
by Working Dad Oversea (2015-04-28 10:30) 

MANTA

おー、ザッツライト! Hypocenterと思い込んでました。
(・・・自分自身でもepicenterと書いておきながら・・・)
(・・・そもそも平面地図だから、震央に決まってるし・・・) (恥)
ご指摘、さんきゅーです! > Working Dad Overseaさん
by MANTA (2015-04-28 18:53) 

MANTA

ちなみに逆断層と書きましたが、非常に低角な逆断層のようです。
(北北東に10度で傾斜)
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us20002926#general_summary
「突き上げられる」+「南に強く揺さぶられる」揺れだったと思われます。
by MANTA (2015-04-28 19:02) 

アヨアン・イゴカー

ネパールの地震と中国の地震の件等、ご解説有難うございます。
巨大な断層によって、震央から80kmも離れたところで地震が起こるのですね。日本列島の場合には、ヒマラヤとは構造が異なり、規模が小さくこのような地震が起こることは少ないような印象がありますが、どうなのでしょう。
それにしても、13世紀から地震があり、80年前もあり予想されていたにもかかわらず、耐震構造にする、耐震建築にすると言う意識がネパールの人々にはあまりなかったのでしょうか、建物が80%も倒壊してしまっているのですね。本当に、お気の毒です。
by アヨアン・イゴカー (2015-04-28 23:16) 

MANTA

前回の地震が数百年前ですからねぇ… > 耐震建築にすると言う意識
そういう意味では、日本人も同じです。先日もある人のこんな発言を聞きました。
「京都は地震などの自然災害が少ないので、1000年を越える都になった」
とんでもない! 何度も地震に襲われていますが、いま生きている人の記憶に残っていなければ「なかった」事になる。世の常です。科学者や政府は災害を風化させないことに注意と努力を払い続けなければなりません。

>日本列島の場合には、ヒマラヤとは構造が異なり、規模が小さくこのような
>地震が起こることは少ないような印象がありますが、どうなのでしょう。
有名なのは1981年の濃尾地震です。約80kmの断層がずれ動いたようです。
●1891 濃尾地震 (内閣府)
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1891--noubiJISHIN/

もっと長い断層としては、糸魚川-静岡構造線断層帯が知られています。全部が一度に動くとM7.7-8.1 程度の地震が発生する可能性があるそうです。
●関東地域の活断層の長期評価(2015.04.24)
 http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02_chiiki_kanto.htm

by MANTA (2015-04-29 14:15) 

アヨアン・イゴカー

再び、ご解答、解説くださいまして有難うございます。
「京都は地震が少ないから都になった」と言う話は、聞いたことがありますが、何度も地震に見舞われているのですね。やはり、正しい情報は常に必要だと改めて認識しました。
また、濃尾地震も巨大な断層ができたのですね。断層の写真は、昔見たことがあるような気がします。
そして、私の住んでいる関東地方にも沢山活断層があり、仕事で電車移動している場所も何箇所か活断層の上でした。
by アヨアン・イゴカー (2015-04-29 16:41) 

MANTA

アヨアン・イゴカーさん、あまり皆さんご存じないのですが、活断層がいつ動いたか
を知る方法は、あまりありません。(誤差100年、というアマアマの範囲でも
難しいことが多い)
これができれば、ノーベル賞ものなのですが(平和賞かな?)

by MANTA (2015-04-29 18:11) 

をば

カトマンズ在住の者です。今回接した地震学的説明の中で、一番分かりやすかったです。ありがとうございます。4月25日は盆地南側の自宅におりましたが、ご指摘の通り「ズン」と突き上げるショックと地鳴りに続き、ゆっくりとした横揺れが1~2分継続したと記憶しています。大の大人の自分が横に1メートルほど飛ばされ、四つん這いになるほどのショックでした。その割にRC造の3階建て自宅は被害無く、家具も倒れませんでした。

原理を科学的に知ることで、余震の恐怖心と折り合いつけていきます。これからもよろしくお願い申しあげます。
by をば (2015-05-29 12:17) 

MANTA

をばさん、お返事が遅くなりました。Facebookも拝見しました。
ネパールの1ヶ月は、西暦の1ヶ月とは異なるのですね。そんなことも存じません
でした。逆に言えば、日本人ができることもたくさんあるということでしょう。
(ちょっとしたことでも、お役に立てることがきっとあるが気づいていない)

さしあたって、科学者である私は、科学的な情報をこうしてブログに書くことが
手始めにできることだと思っています。
そうこうするうちに、あちらこちらで噴火や地震。大変な世紀に突入しました。

by MANTA (2015-06-03 17:24) 

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