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「この国は終わらせている」のは誰か? [▼連載【資源エネルギーを考える】]

先日、ある会合に出ていて感じたこと。それは、長年に渡ってエネルギー資源を
研究している研究者(企業)の講演会での出来事だった。私も資源分野の研究者
(の端くれの端くれ)を名乗ってはいるが、企業で何が行われていて、何が本当に
問題なのかは、正直言って疎いのでとっても勉強になった。
ところで、質疑応答の時間になり、ご高齢の方(おそらく元研究者)から原子力に
関する質問が出た。質問に続ける形で、その高齢者は次のように自分の思いを
補足した(以下は私のツィッターより、一部改変)。後半は私の感想である。

原子力政策うんぬんはとりあえず棚上げしておいて、
「もうそんなにエネルギーを作らないでもいい、むしろのんびり幸せを求めよう」
という声を、特に60歳をまわった方々からよく聞く気がする。

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しかし現実は非情だ。下のグラフを見てほしい。
キャプチャ.JPG
 GDP(国内総生産)の変化と電力需要変化の関係。
 1990年~2010年のOECD諸国の実績(5年平均)。
 詳細は下記を参照。
●日本のエネルギーミックスと約束草案の評価
 (地球環境産業技術研究機構:2015年7月31日)
 http://www.rite.or.jp/system/global-warming-ouyou/download-data/Energymix_INDCs_20150818.pdf

このグラフは「電力需要の伸び率とGDPには相関がある」ことを示している。
電力需要が減ると、GDPが減る(のではないか)ということだ。むろん、電力と
GDPはどちらが卵か鶏かはこれだけでは分からないが(※)、電力需要がマイナスで
GDPがプラス成長のケースは極めて稀であった。原子力発電を今後もバンバン使うと
思われる欧米・中国などと比べると、この国の未来はどうなるだろうか?
すなわち「日本社会はそんなにエネルギーを使わなくてもよいじゃないか」とは
「日本の国際競争力は低下し、給料も減りますよ」ということを意味している。
若い人にとってはこれは深刻だ。
なのに、年老いた学の高い人達は軽々しく、成長をやめようと言う。

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昨日話題になった下記のニュースを見ても、同じことを感じる。
●茂木氏「この国は終わっている」就活生の没個性指摘
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170607-01836561-nksports-ent

詳細については下記のまとめをみてほしい。
●茂木健一郎氏「リクルートスーツは没個性。この国は終わっている」
 ←高須克弥氏「甘い読みです」
 https://togetter.com/li/1117974

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リクルートスーツの可否についてはまた議論したいが、若者を批判して
「この国は終わっている」とぼやいている「自称」脳科学者にひとこと言いたい。
そもそもこんな社会にしたのは、貴方を含む年老いた学の高い人たちである。
貴方達は長い間社会の一員であり、多くの制度や風潮を作り、黙認してきた。
自分たちがやってきたことは棚上げして、日本社会の不安や不満を若者の行動に
押し付けて、批判して、それでどうなるのか?

これは自戒でもある。私も年齢的には、その「年老いた」人たちの仲間になりつつ
あるのだ。軽々しく「いまどきの若者は」などと思い込まないことが大事である。
先達のくだらない批判をみたら、若者たちは心の底から「この国は終わっている」
と思うに違いない。本当のどん底は、若者の真の失望から始まるのだから、
つまらない若者批判や社会批評がこの国を終わらせてしまわないよう
気をつけたいところだ。

※注:日本の電力需要とGDPの間にも相関はみられる。
キャプチャ0.JPG
●GDPと電力需要(東京電力)
 http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/illustrated/power-demand/gdp-demand-j.html
ただし、2005年以降は電力需要は横ばいあるいは減少しているが、
GDPは微増している。民間各社が省エネルギーに貢献した成果であろう。
また電力需要が20%増加しても、GDPは10%程度しか増加していない。
つまり電力需要増=GDP増という単純な図式ではない。ないのであるが、
だからといって電力需要を(あるポリシーに基づいて)急減させれば
GDP急減に陥る可能性は高いといえるだろう。

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おまけ:下記も先日の講演会にて(私のツィッターより)。上記とは別の、
それなりにお歳の講演者。これじゃ大所高所の話をされても、耳に入らないっす。

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HOKUTEN

まったくもってその通りですね。
自分たちが成長しなくなって枯れていくのは勝手だが、それに周囲を、特に未来を持つ者たちを巻き込むんじゃない!!
と思います。
by HOKUTEN (2017-06-08 12:37) 

香菜子KANAKO

茂木健一郎先生の発言にはがっかり。「この国は終わっている」だなんて、上から目線で偉そうなことよく言えたものです。そんな国を作ったのは就活中の学生たちじゃない、茂木健一郎先生のような中高年のひとたち。あまりにも無責任、傲慢、高飛車。香菜子的には茂木先生の著書をいくつも読んでファンだったのに、失望。
by 香菜子KANAKO (2017-06-08 19:41) 

MANTA

HOKUTENさん
コメントありがとうございます。日本はいま超高齢化社会に向かって
います。なんのことはない、年老いた方々が、この日本を支えないと
いけないのです。なのに、、、ねぇ、、、
文句言ってる暇があったら対策考えろ!!と言いたい。

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香菜子KANAKOさん
>香菜子的には茂木先生の著書をいくつも読んでファンだったのに、
>失望。
コメントありがとうございます。じっくり考えて行う執筆作業と、
ツィッターとの違いが、モロに現れているのでしょう。茂木さんは
前者は得意で、後者は苦手なのでは? まあ40代を超えれば頭脳の
瞬発力も落ちるということです。(私も!)

by MANTA (2017-06-08 19:58) 

MANTA

余談:
「原子力反対、子供の世代の安全安心のために、いま立ち上がれ!」
というお母さん・お父さんたちもいたりしますが、
原子力ゼロ=電気代↑&電力需要↓=国際競争力↓・給料減↓となって、
お子さんから将来「お母さん・お父さんのせいで僕らの世代は大変や!」
と怒鳴られるだろう。その日のことを、シュプレヒコールを繰り返す
親達はちょっとくらいは考えているのだろうか?高齢者だけでなく、
いまの問題をどう解決するか、みんなで考える頭脳と体力と人間関係
がなければ、この国はほんと滅ぶよね。
by MANTA (2017-06-08 20:13) 

立花

茂木先生の感じておられるある種の苛立ちのようなものも理解できるところはあります。
しかし既存の価値にあえて挑戦するリスクを就活の学生に負わせるってのもなんか変な感じがします。
スーツってそんなにバリエーションありますか。柄物着ていくわけにもいかないだろうし。どうなんだろう。

by 立花 (2017-06-08 20:54) 

伊牟田勝美

>のんびり幸せを求めよう

悪い事ではないと思いますが、温暖化の事を考えると、若い世代にどんな世界を残すかより、今の自分達が「安心できるか」しか考えていないように感じます。
その意味で、個人的には、原発を停める前に火力発電所を止めるべきだと考えています。

どんな世界を若い世代に残すのかを真剣に考えていると、今の政府も、今の国民も、今の世界情勢も、馬鹿馬鹿しいくらいに出鱈目に感じてしまうのです。
私は、温暖化に危機感を感じ、ブログを立ち上げました。
温暖化や他の要因で食糧は厳しくなると考え、温暖化防止と並行して、食糧自給率を向上させていく必要性を感じています。

荒唐無稽に思われるかもしれませんが、食糧自給率を向上させ、「平和で幸せな日本」を将来に渡って実現するために、今世紀末頃には人口を6000万人前後で安定させるべきだとも考えています。

こんな事を真剣に考えていると、「原子力はやめよう」は目先だけに見えてしまいますし、「成長しなければ未来はない」と言うのも、真剣に未来を見ているのか、疑問を挟みたくなるのです。


失礼いたしました。

by 伊牟田勝美 (2017-06-09 00:37) 

MANTA

>茂木先生の感じておられるある種の苛立ちのようなものも理解
>できるところはあります。
立花さん、ありがとうございます。
多くの大人もそう思うのでしょうか? ならば、リクルートスーツを
良しとする日本社会の文化や空気が、無個性の若者を助長していると
いうわけでしょうか? 私はきっと、そうなんだと思います。
なので、件の先生は苛立ちの矛先を間違っているんだと思います。

----
>どんな世界を若い世代に残すのかを真剣に考えていると、今の政府
>も、今の国民も、今の世界情勢も、馬鹿馬鹿しいくらいに出鱈目に
>感じてしまうのです。
伊牟田勝美さん、コメントありがとうございます。
昨今の国会の騒ぎや、アメリカやフランス・イギリスでの選挙報道を
みるにつけ、同じことを感じています。私が子供の頃に夢見た21世紀
はこうではなかったはず。
さて、どうするか、、、

by MANTA (2017-06-17 04:30) 

伊牟田勝美

茂木先生が没個性とした対象は、学生と経団連のどちらなのでしょうか。
単純に取れば、学生になります。
ですが、リクルートスーツを着ざるを得ない環境を作っている側と取れば、経団連になります。だから、「経団連のお墨付き」と書いたのかも。

ですが、服装って、ただのツールですよね。
そのツールを有効に使うために何がしかの主張を込める人もいますが、無頓着な人もいます。
ファッション業界でもあるまいし、ただのツールで「没個性」と断定できるセンスって・・・

ノーベル賞受賞式を思う浮かべると、受賞者は燕尾服ばかり。民族服で出席される方もいますが、みなさん正装されています。
きっと「没個性」でないとノーベル賞を受賞できないのですよ。

「没個性」万歳! \(^o^)/


by 伊牟田勝美 (2017-06-17 19:39) 

MANTA

強いるほうが悪いのか、強いられて文句も言わないほうが悪いのか。
後者が悪いのだと茂木先生はおっしゃりたかったのかしら。

> 「没個性」万歳! \(^o^)/

下記の記事では「茂木さんが嘆く就活生の無個性は、学校教育の成果」
とのことです。たしかに全ての人間が超個性的だったら、国とか会社
とか、集団とか成り立ちませんもんねぇ。
http://agora-web.jp/archives/2019589.html
※ちなみに茂木先生は以前から同じ主張を繰り返しているのね。

私は個性を伸ばすというよりも、個性的な考え方を伸ばす事を心がけて
います。ただ、高校まで没個性でやってきて、急に「個性的に考えろ」
と言われる学生は、相当戸惑っています。
戸惑いながら大学を卒業し、社会の中で個性が花開いていくのだと
思っていますが、それにしても小中高の過程でもうちょっと個性が
重要視されてもよいようには感じています。
by MANTA (2017-06-18 08:29) 

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