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日本沈没 回答編3(アイソスタシー) [ 連載 Old..]

まだつづきます。

Q.ひょっとして、アイソスタシーって、もう古い?
おーアイソスタシー。懐かしい。地球科学を専門とする人は一度は習うでしょう。
アイソスタシーは物理法則から導かれるので、古いも新しいもありません。まずは論より証拠。こちらの写真をご覧ください。

アイソスタシーのモデル  ※リンク切れ:コメントを参照下さい。
 岡山県教育センターさま >(各研究室から)化学 >理科総合A,B演示実験資料集(H15年版)
       >地学領域 >B7 アイソスタシーのモデル

「図3.木材の浮かび方の違い」を見れば分かるように、水に木材を浮かべてみると、厚い木材ほど高く浮き上がり、薄い木材ほど低めです。この釣り合い状態を「アイソスタシー」とよびます。木材=地殻(軽い岩石)、水=マントル(重い岩石)に置き換えた仮説が「アイソスタシー仮説」です。つまり「高い山には根っこがある」という考え方です。

アイソスタシーはもともと山での重力の値を説明するために考え出されたものです。山は空気よりも重い、ということは山のほうに重力が向いてしまうはずだ、しかし現実は思ったほど山に引っ張られなかったのです。なぜか?やまの根っこが深くまであり、そこは周りのマントルよりも軽いので「空気より重い山」と「マントルより軽い山の根っこ」が互いに打ち消しあうので、場所による重力の変化が小さくなるのではないか、と考えられたのです。

ここ日本でもアイソスタシーは成り立っているのでしょうか? その1で出てきた飛騨地方、ここは過去200万年の間もっとも激しく隆起した地域ですが、山の高さの割には場所による重力の変化が小さいことが知られています。ということはアイソスタシーが成り立っていそうです。くわえて、
 「飛騨地方が激しく隆起した + アイソスタシー 
   = 飛騨地方の隆起が激しい原因は。、地殻が年々厚くなっているからではないか?」
なんて仮説も生まれるわけです。そうかなあ、そうかもしれませんね。実際、火山もあるし。

でもホントに飛騨地方ではアイソスタシーが成り立っているのでしょうか…その実態は実はよくわかってません。

理由1)マントルも地殻も動いている
アイソスタシーは静かな湖面のようなマントルのうえに、地殻がそーっと乗っかっている状態で成り立ちます。ということは、マントルの流れなどのために地殻に余計な力がかかってると、アイソスタシーは成り立ちませんね。

 流れに引きずり込まれる木材

理由2)地殻は硬い
さっきの写真では木材は一つ一つばらばらでしたが、地殻はそれなり硬くて、横方向にある程度支えあうことができます(もちろんあんまり力がかかりすぎると断層ができて地殻も割れますが)。すると図のように、小さい山には根っこがなくても良くなります。

 表面がでこぼこ、底がたいらの木材でもそれなりに浮くのだ

大陸などでの重力の詳しい調査からは、裾野が数百kmより小さい山には根っこはなく、アイスソタシーは成り立っていないようです。あれ、飛騨山地ってそんなに大きくないよね… 日本は大陸より地殻が薄いから、小さめの山でもアイソスタシーは成り立つのかなあ…

理由3)マントルも硬い
マントルは以前の記事のように、水とは違って「超ネバネバ」なので、地表や地中で何か急激な変化が起きても、アイソスタシーの状態になるのにはかなり時間がかかります。代表例がスカンジナビア半島。過去1万年の間に最大で300m以上、地面が隆起しています。これは2万年前の氷河時代にあった氷河がとけたのちに、重い氷河に押しつぶされていた地殻やマントルが、アイソスタシーによって元の釣り合いの状態に戻ろうとしているのだと考えられています。この隆起、じつは今も続いているようです。つまりマントルが超粘っこいために、なかなかアイソスタシーの状態に戻らないというわけです。

 重りがなくなってもじりじり浮き上がる地殻

…海洋プレートが沈み込んだり火山ができたりして複雑な日本の飛騨地方ではアイソスタシーはホントになりたっているんでしょうか?アイソスタシーも仮説のひとつ。地面の下は本当はどうなっているのか、確かめる努力が必要です。

あーむずかしい。夏休みの宿題モード全開ですな。
つづく。

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ちなみに飛騨地方のお隣の琵琶湖。ここは周りにくらべてずいぶんと重力の値が小さく、アイソスタシーが成り立っていないことで知られています。なんででしょう?きっと日本列島の地殻変動がマントルの深さまで及んでいて、複雑なことになっているんだろうとみんな思っていますが、よく分かりません。「琵琶湖の下でデラミネーションがおきようとしているのだ!」という人もいます。つまり重たい地殻がまさにはがれんばかりになって琵琶湖の地殻の深いところにぶら下がりつつあるんだ、というわけですが証拠はありません。

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コメント 5

ちゃめ

 ほほー、なるほど。
 良く判ったよ。
 アイソスタシーは静的な平衡状態の理屈だけど、現実の地球は動的(しかもタイムスケールがすげー長い)だから、必ずしも、アイソスタシーがある瞬間に成り立つ必要がない、というか、成り立ちつつある、という状態もあって然るべきなんだね。
 
by ちゃめ (2006-08-29 19:22) 

MANTA

- そうなんですよ~ 最近の教科書には意外とアイソスタシーのこと書いていなくて、ちょっとまじめに調べてしまいましたよ。
by MANTA (2006-08-30 09:00) 

ちゃめ

 あははっ。
 そうなんだぁ!?
 それはお手間を取らせてしまいました。
 最新の地球科学は、我々が学んだ頃より大分変わっているみたいですね。
 どんどんと最先端が変わってゆく科学って、言い換えれば幾らでも活躍の場があるという事でもあるから、学生にとっては魅力的なスフィアだよね?
 数学や物理学科では、我々の時代でも卒業研究をやっていないそうだ。
 赤豚さんと飲みたかったからだけど、地球科学(特に海洋)に行って良かったなぁ、と思ってしまうね。
by ちゃめ (2006-08-31 15:52) 

MANTA

- うん、学問は「はやりすたれ」がありますからね。でも、いまもアイソスタシー、というか重力と地球ダイナミクスを研究している人はいますよ、念のため。
地球科学は壮大な分野ですけど、卒論で研究してもなかなか面白いですよね。やっぱ、自分たちの星ですからね。しかも最先端ではどんどん面白いことがわかってますよ。またぼちぼち紹介しますね。
by MANTA (2006-09-01 08:33) 

MANTA

※アイソスタシーの実験に関するリンク先がなくなってしまいました。
 資料はこちらです。

●岡山県総合教育センター
 http://www.edu-ctr.pref.okayama.jp/chousa/study/kiyoPDF03/03ko_sidosiryo.pdf

by MANTA (2008-07-01 06:46) 

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