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マリアナ釣り紀行? ~旅の終わり~ (13) [ シリーズ実況 Old..]

乗船レポート最終回です。

当初は40観測地点を回る予定でしたが、とうとう台風ができてしまいました。


  ひまわりの映像。船ではこれが頼り

画面には日本列島もちょっと映ってます。わかります?四国や九州、紀伊半島。
ここまで南になると天気図はまったくあてなりません。
台風予報も気象庁のものと、アメリカ海軍のものと2種類出ますが、
互いの予測進路はけっこう違う。船長は「日本のほうが精度がいい」とおっしゃってましたが、
予測がずれるのはあたりまえ。ひまわりの衛星画像が一番の情報源です。

できることは祈るだけ。祈りましたよ、いちおうは。
でも願いも虚しく、予定していた40地点のうち、2地点には行くことができず調査終了。
台風が大きくなる前に横須賀に戻ることになりました。はぁ… ざんねん。
寒い海底に2台ほどおきざりにしてしまいました。
といっても台風がもう数日早く発生していたら、半分くらいの観測地点には行くことがで
きなかったかもしれません。そうおもえばよしとすべきでしょうね。

あ、あと浮いてこなかった装置が4つほどあったねぇ。
今回の調査公開の成果としては、35地点・41台のOBEMを無事回収。
回収に挑戦した台数は45台だから、41÷45=回収率は約91%でした。
まずまずでしょう。1997年のときに同様の大実験が行われましたが、そのときから考える
と格段のシンポです(あの時はもっとたくさん無くしてました)

さぁ!もう暗い雰囲気も終わりにして、打ち上げです!
調査が無事終了すると、夕食の時間やそのあとに打ち上げと称して乾杯をします。

  観測終了日の晩御飯。なんと、すき焼きですよ〜

いやー私もちょいちょい船に乗ってますけど、こんな鍋物ははじめてですね。
海外の船とかだと、金曜日の夕食は外(甲板)でバーベキューとかすることもありますが、
揺れる船だと鍋ってむずかしいじゃないですか? それを電気鍋で実現とは。
なるほどー、恐れ入りました。厨房の方々の準備も大変だったことと察します。
それはそれは、おいしくいただきました。

外国人の研究者たちも喜んで食べてました。
いやー、よかった、よかった。国際共同プロジェクト、成功といえましょう。
あ、ちなみに私はたいして働いておりません。主席研究者の努力のたまものです(ヨイショ)


夕食&2次会の様子。2次会といっても、場所は同じく船の食堂なんですけどね。
画像、ちいさく縮めてますけど、笑顔がわかるでしょう?
きつい日々でしたが、むくわれた瞬間ですね。
みなさまお疲れ様でした。

…以上で乗船レポートはおしまい。
っていうか船を下りてから投稿した記事のほうが多かったりして(苦)
各国でデータ解析をして、来年4月にまた日本で会合を開こう!と約束をし、
研究者はみな散り散りに帰っていきました。
春かあ。。。桜の季節。。。意外にすぐなんだよね。
データ解析、がんばろっと!

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おまけ:
そういえば前の記事で「メモリーだけ回収できないのですか?」というコメントをいただ
きました。そのとおりです。我々も回収できない装置を指をくわえてみてるわけにはいきません。
いろいろ工夫をしてます。が、装置の価格が高くなり、装置のサイズも大きくなります。

ちょっと簡単な計算してみましょう。
【従来の装置を20台使用】
・装置1台あたりの価格を「A」円と仮定
・装置1台を1回設置・回収する際のランニングコストは概ね0.1A
 (ただし船の利用費用は除く)
・この装置10台を設置・回収すると1台は回収できないと仮定(回収率90%)
・この装置10台を海底に5回、設置・回収する場合のトータルコストは
 10*A + 5*(0.1*A*10 + A*1) = 20A

【改良した装置を10台使用】
装置がおもりを切り離せないという緊急事態用に予備の切り離し装置をつけて改造したと
しましょう。
・装置の開発費として、装置1台分のコストがかかるかな?
・装置1台あたりの価格は30%増し=1.3A ってかんじかな?
・装置のランニングコストは同じ=0.1A
・この装置10台を設置・回収すると0.1台は回収できないと仮定(回収率99%)
・この装置10台を海底に5回、設置・回収する場合のトータルコストは
 A+ 10*1.3*A + 5*(0.1*A*10 + A*0.1) = 19.5A

装置10台を5回使用する場合は、改造のメリットが小さいのです。
ただし台数や使用回数が増えると徐々にメリットが大きくなります。
装置20台を20回使用すると、改造前後のトータルコスト差は11A!
装置をあと8台ほど追加作成できますね。
今後、新しく装置をデザインしなおすときは、回収率99%を目指したいと思います!


※この記事の続きをよむには下記を御覧ください。
 http://obem.jpn.org/field042.html

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コメント 8

ちゃめ

 メモリーだけ回収ですか。
 色んなアイデアがあるんですね。
 しかし、メモリーのみの回収装置をつけると、それだけ故障部位が増えるわけだから、装置全体の信頼性は下がる。
 すると、上記の計算式の回収率の99%は高く見積もりすぎかもね?

 耐圧ガラス球の内部に、切り離しメモリーを付けると、かなり大掛かりで複雑な装置になるだろうね。
 外部に切り離しメモリーをバックアップとして持たせるにしても、ガラス球に貫通穴が必要になるし、切り離し機構と防水・耐圧の仕組が加わってくるから、トラブルが増えそう(ガラス球を貫通しない方法でデータ送受信ができれば、切り離し機構のみでいけるけど)。

 OBM装置のバランスや海底での安定性(斜面を転げ落ちても、最後には直立姿勢で立ち直る、ダルマさんみたいな形状)を考えるのも、手かもしれないね。
by ちゃめ (2006-10-13 12:17) 

MANTA

- おもり切り離し装置は普通1つですが、これを2つ搭載しようというわけです。で、どちらかが働けばおもりが切れるようにしておきます。
切り離し装置の動作率が90%とすると、切り離し装置が2つとも動作しない確率は(1-0.9)*(1-0.9) = 0.01 = 1%
すなわち99%の確率でおもりを切り離すことができるわけです。
メモリーだけ切り離す機構よりこちらのほうがシンプルでロバストです。

あとひっくり返ることは、まあたいていないですよ。OBEMには十字の腕が付いてますからそれがパラシュートのような役割をしてます。っていうか、腕があるから、起き上がりこぼしは無理かと…
by MANTA (2006-10-14 08:23) 

ちゃめ

 切り離し装置の信頼性が問題なのですか。
 納得。
 私はてっきりOBMが深海底でひっくり返って、それで帰ってこないものとばっかり思っていました(笑)。

 そう言えば、あの腕は一体なんに使うのだろう?
 センサー?
 相当大事なもののようだけど…。
 投稿に書いてあったらごめんね。
by ちゃめ (2006-10-14 14:31) 

TOSHI

MANTAさん
おひさしぶりです。かいれい でのマリアナ航海御苦労様でした。
乗船レポート読ませていただきました。
私は今、5ヶ月ぶりの長期休暇中で心身共にリフレッシュ中です。
(11月上旬には、又乗船し大陸棚延伸の為、穴堀りの毎日に)
ずっと休みのはずが今月下旬に、新潟沖(例の場所)で淡青丸で
メタハイ調査(海底設置型ADCP,CTD,MC)に研究員の補助として
乗船する予定です。調査船の船員でありながら、乗組員としてでなく、
他の調査船に乗船するのは2度目ですが、産総研のY氏からの熱望
があったとの事です。
手前味噌にはなりますが、ウチの船では30年前の地質調査所の調査航海の頃から、
熱心な研究員の方達から船員も調査研究のレクチャーを受け、互いに協力
しながら仕事をする慣習が根付きました。
研究の意義や目的を知っていれば、船員の方の士気が上がるのは間違いなく、
それなりに多大な成果はあったと思う。私自身も30年近く調査船に乗船してますが、
時々、研究員の方の熱意には感動さえ覚えます。
調査機器の進化には目を見張るものがありますが、いつ迄も
変わらないのは、船という特種な世界では、研究員と船員との
コミニケーションが何よりも大事だと常々感じています。
そのうちMANTAさんに、どこかでお会い出来るのを楽しみにいます。(笑)
by TOSHI (2006-10-14 20:02) 

MANTA

- 腕の役割ですか!>ちゃめさん
船の上で同じことを船員さんから聞かれました。
船上セミナーでの説明資料をまた近いうちに公開いたしましょう。
by MANTA (2006-10-15 06:02) 

MANTA

- つたないレポートで恐縮です > Toshiさん
日本海ですか!盛り上がってきてますね。こりゃ、掘削するしかないですね!
船員さんにはホント助けてもらっています。わたしなんて毎回変な装置を持ち込む厄介者の類でしょうけれど、こちらの目的などを的確に理解いただいた上でともに調査に挑んでいただいております。感謝!
もっともっと、船員さんとはコミュニケーションを深めたいですね。
ちなみに淡青丸には現在、私の同僚が乗ってます。乗船レポートにあるような装置を回収中。順調のようです(^^)
by MANTA (2006-10-15 06:46) 

トサえもん

「メモリーだけ回収できないのですか?」というコメントをした割に遅いレスですみません。
分かり易い説明をありがとうございました。なるほど、これなら現状で工夫を重ねたほうが現実的です。装置の信頼性を上げるためには未回収の原因を少しでも細かく知る必要がありますが、深い海底だけに難しそうですね。人工衛星のような自己診断プログラムの信号も、海上には届かないでしょうし・・・。車の自己診断は、LEDの発光回数でおおよその原因が分かるようになっていますが、それを音に変えるとか。でもやっぱりコストが掛かりますね。
by トサえもん (2006-10-17 08:41) 

MANTA

- コメントありがとうございます>トサえもんさん
自己診断プログラムを搭載した海底観測機器もあります、一応。
自分の状況を超音波信号で船に送ってくるのです。
ただ浮かない場合はやはりどうしようもないので、ダブル切り離し機構のほうがよさそうですね。
by MANTA (2006-10-19 07:52) 

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