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懐かしい人たちに会う [ 研究実況 Old..]

先日は懐かしい人が研究所を訪ねてきてくれた。
2年ほど前に、大学院での研究をお手伝いさせていただいた学生さん、
いまはすっかり社会人。たまたまお休みだったので、夕方お会いして、かつての研究の
論文化の相談をして、そのあと飲みに行った。

11539667.jpg
 写真を取り忘れてしまったので、かつての某お店での写真。
 雰囲気、と言うことで。

4年も前にとったデータの論文化のお話をいまごろしていてはいかんのだが(汗)、
当時よくわからなかったことも、あらためて議論するとなんとなく分かってきたりして。
とくに社会人の彼が精神的に成長していて、驚いたし、嬉しかった。
むろん働くのは大変だ。いまの職場もかなりきついようだし、そのなかで論文を書くことは
本当に大変だと思うけれど、お互い頑張りましょう!なんて話をして別れた。

・・・ところがそうそう楽しい再会ばかりではない。
その数日前、深夜のとある駅で、昔一緒に船に乗った人にばったり出会った。
いまは船の仕事をやめて、民間の会社で建築関係の仕事についておられるそうだ。
「いやーおひさしぶりです」の次に彼の口から出た言葉は
「MANTAさんたち研究者が地震、地震、って騒ぐからもう大変ですよ。
 おかげで安全対策が大変で、毎日残業でこんな時間です」
別に私は自分の飯のタネのために、地震、地震と騒いでいるわけではない。
逆にその安全対策で飯を食っているのは彼のほうではないのか?
まあ彼は冗談でいったのだろうが、ちょっと不愉快だった。

話題を変えた。
最近の原油代高騰で、調査船の運航が大変らしい、という話をすると
「限られたお金の中で活動するなんて、そんなの民間だったらアタリマエですよ」
確かにアタリマエだ。謙虚に考えねばならない。多大な税金を使って、我々研究者は
なんのために海の研究をやっているのだろうか?私はこれは企業「日本国」としての
先行投資だと思っている。しかしいずれは資金回収できるものでなければ先行投資とは
呼べない。国民にお返しできるもの、その意識は忘れてはならないと思っている。
なので限られた予算の中で最大限の効果をあげることが当然である。

しかしそんな理屈よりも「この人と一緒に船に乗って酒をかわしたのになぁ」という残念な
気持ちのほうが強かった。彼は、船の運航に携わる人たちが燃料代と調査スケジュールの
板挟みになっていることを知っていたはずである。しかし彼の口からは自分の近況の話は
でるが、昔の仲間の話はでなかった。一緒に船に乗ったと言ってもそんなものか…

あまりに寂しく、あるいは腹立たしく感じたので私はこう言い残した。
「お金がかかって大変、というのなら海の研究なんてやめればいいのだよね」
それに対しては、彼はとくに応えなかったように思う。

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まあそんなこといっても、最初に紹介した彼も、2番目の彼も、いまは
民間で働く人たちだ。私の過ごす研究の世界は良い意味でも悪い意味でも
浮世離れしている、ということなのだろう。

人との出会いや別れとはなんと多様なものであるか。
しかし一度出会った人とはどこかでまた出会い、影響を受けるものである。
それは人として、やはりありがたいことだと思う。
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アヨアン・イゴカー

採算優先の研究なんて!
研究は潤沢なお金を使って、堂々と、王様のように、やればいいのだと思います。そうしなければ、よい研究は生まれないと思います。成果主義の研究なんて、魅力がない、みみっちい!無駄がなければ、遊びが無ければ研究は小さくなり、規模の大きな、革新的な成果・発見には繋がらないでしょう、きっと。民間の研究と同じである必要はありません。
by アヨアン・イゴカー (2008-06-07 22:03) 

HMS

ごぶさたしております。
@2番目の彼

 彼の言い分も判らないではありません。似たシチュエーションで居酒屋で取っ組み合いの喧嘩をしたことがあります。調査船は「研究を行うための重要なツール」ですが、一般商船は「荷物を運ぶための一輸送手段」です。

 「燃料代と調査スケジュールの板挟み」になっても委託先の調査船運航会社は委託先変更などというのはよほどのことが無い限りありませんが、「燃料代と輸送スケジュールの板挟み」は年中、荷主から運送会社の変更をいきなり通告されたり、運賃の切り下げを要求されたりします。

 自動車運搬船を管理していたときには一日入港が遅れただけで「800億損した」と荷主からクレームをつけられた(前日比3,5円円高になったので)こともあります。

 その上で研究所関連の船に乗ると「・・・」な光景に出会うこともしばしばあるのでMANTAさんのお気持ちは判りますが、彼の状況も察していただければ幸いです。
by HMS (2008-06-08 22:55) 

satokot

仕事で関わった研究機関に対してムカついたり、税金上がる一方で生活苦しいのに税金でのうのうと暮らしているヤツがいるっていう思いがあるのかもしれないですけど、MANTAさんに向かって言うことではないですよね。ちょっと残念な再会になってしまいましたね・・・。

私は研究っていうのは必要だと思います。税金を湯水のように使われたら困りますけど(笑)、使った税金以上の成果もあるかもしれませんよね。
採算重視の民間研究だけではできないものもあると思います。
私がよく思うのは、原子力発電に何百億もの税金を使うくらいならできるかできないか分からなくても安全でクリーンなエネルギーを得るための研究とかにつぎ込んでくれればいいのにと思います。

MANTAさんのように「国民にお返しできるもの、その意識は忘れてはならないと思っている。なので限られた予算の中で最大限の効果をあげることが当然である。」という意識で、みんなにありがとうって言われる研究をして欲しいと思います。
by satokot (2008-06-09 11:04) 

素風

2番目のお知り合い、その日は何かよくないことでもあったのでしょうか。もちろん、MANTAさんに八つ当たりしてよい理由にはなりませんが。
私には何度か転職経験があり、業界もいくつか経験して感じたことでありますが、どの業界にいる人であってもその人にとっての世間というのはどうしても狭くなってしまうものです。仕事に責任感を持ち、没頭すればある程度、他に目がいかなくなって当然だろうとも感じます。記事を拝読する限り、視野が狭くなってしまっているのは2番目のお知り合いのほうかな、とも思えます。職務が異なるとはいえ、かつて同じ職場で働いた人からそんな言葉を投げつけられるとつらいですね。
研究を生業としている友人もいますが、彼が他の仕事をしている人と比べてことさら世間が狭いとも思いません。もちろん、MANTAさんもです。 気を落とされませんよう。
by 素風 (2008-06-09 13:10) 

sora

MANTAさんのお気持ち、
お察しします。

きっと相手の人も
悪気なく言ったのだろうと
頭ではわかっていても
心にすーっと風が吹いたみたいに
離れてしまうとこんなもんなのかなって
ちょっと悲しくなったりして。

でも、どんな出逢いでも
ありがたいものです。
by sora (2008-06-09 14:35) 

MANTA

みなさまコメントありがとうございます。

>採算優先の研究なんて!
アヨアン・イゴカーさん、そういっていただけるとありがたいのですが、
残念なことに、研究者というものは放っておくと本当に「王様」あるいは
「趣味の人」になってしまうかもしれません。これは研究評価にも繋がり
ますが、短期で成果があがるものと、長期で成果をあげるものの組み合わせ
がおそらく求められているのだと思います。
でも遊びは必要ですね!でなけりゃ、全部民間で研究すればよいのだから。
ちょうど先日、研究費の使い方について、とある興味深い記事をみつけ
ました。近日中に紹介してみます。

>「燃料代と輸送スケジュールの板挟み」は年中、荷主から運送会社の
>変更をいきなり通告されたり、運賃の切り下げを要求されたりします。
HMSさん、お久しぶりです! おそらく2番目の彼もそんな辛い状況で
残業をされていたのでしょう… でもそれは私のせいではないのです。
まあさほど親しい間柄ではなかったですが、せっかく偶然会ったのになぁ。
by MANTA (2008-06-09 17:43) 

MANTA

>私は研究っていうのは必要だと思います。税金を湯水のように使われた
>ら困りますけど(笑)、使った税金以上の成果もあるかもしれませんよね。
satokotさん、ありがとうございます。
なにが無駄な研究で、なにが必要な研究かを研究者自身も互いに評価し合い
つつ、もっと語らねばならないのかもしれませんね。そのためには、論文や
特許の数だけではなく、多くの人と情報や意見を交わすことが必要なのだろう
と最近強く思います。

>2番目のお知り合い、その日は何かよくないことでもあったのでしょうか。
素風さん、たぶんですが「その日」ではなくて、彼が船関係の仕事をお辞めに
なるときに嫌な思いをされたんだと思います。それでも私に声をかけてくれた
のは、彼が辞職の挨拶を私に出来なかったからだと思います
(そのような事を話されてました)。

>研究を生業としている友人もいますが、彼が他の仕事をしている人と比べて
>ことさら世間が狭いとも思いません
ですよねぇ?! 世間では研究者は視野が狭い、といいますが
広い研究者もたくさんいます。私もそうありたいと思っています。

>頭ではわかっていても 心にすーっと風が吹いたみたいに
>離れてしまうとこんなもんなのかなって ちょっと悲しくなったりして。
soraさん、ほんとそんな感じでした。人と人とのわかり合うとか誤解とかって
そんなそよ風のようなものかもしれません。逆に私も知らず知らずのうちに
人に嫌な思いをさせてるのでしょうね。生きるって難しい…
by MANTA (2008-06-09 17:47) 

ハニーm

遅ればせながら MANTAさんに、
「王様のように ..」 取りようによっては、いまも非常に印象の強い
譬えに感じております。 (これ以上は触れませんので ..)

MANTAさんは、気さくで親切、謙虚な方と思っています。
2番目の方とのこと、ご胸中をお察ししました。
by ハニーm (2008-06-14 08:28) 

MANTA

ハニーmさん、ときに王様のように主張し、ときにはロバのように耳を傾ける
となればいいのですが、そういう器用さをあえて嫌う研究者も多いです。
by MANTA (2008-06-14 11:57) 

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